岩波新書<br> ソウルの風景―記憶と変貌

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岩波新書
ソウルの風景―記憶と変貌

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  • サイズ 新書判/ページ数 212p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004307495
  • NDC分類 292.14
  • Cコード C0236

出版社内容情報

21年振りで再びソウルに長期滞在した著者が出会った2000年の韓国とは.高度消費社会と伝統回帰,「北」をめぐる映画,日本文化流入と元従軍慰安婦の集会…人々の姿,声が幾重にも映し出され,私たちの同時代をも照らす.

内容説明

南北首脳会談の実現、大統領のノーベル賞受賞に沸いた二〇〇〇年の韓国。激動の一九七九年を過ごしたソウルに再び長期滞在した著者が出会ったものとは何か。高度消費社会と伝統回帰、「北」をめぐるフィルム、光州事件、日本文化開放と元従軍慰安婦の集会…人々の姿、肉声を通して、近くて本当に近い隣国の現在を映し出す。第50回日本エッセイスト・クラブ賞受賞。

目次

1 大衆消費社会の到来
2 伝統的なるものの行方
3 北をめぐる映像
4 金大中のノーベル賞受賞
5 聖域となった光州
6 日本の影
7 二人の作家
8 水曜集会
9 歴史と他者

著者等紹介

四方田犬彦[ヨモタイヌヒコ]
1953年西宮市に生まれる。東京大学人文系大学院博士課程修了。1979年建国大学客員教授として1年間ソウルに滞在。帰国後、韓国映画の紹介と連続上映に関わる。現在、明治学院大学教授。専攻は映画史・比較文化
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

377
タイトルには「ソウルの…」とあるが、実際は韓国社会の諸相をとらえたもの。残念ながら出版後20年を経ている。著者が本書出版の21年前に滞在していた頃の韓国をしばしば回想し、その激変ぶりを慨嘆しているが、その後の20年も大きな変化があったと思われる。ただし、四方田の視点がけっして表層的ではないので、今読んでも取り上げられている事象は古くても、本質は掬い取られていると思う。現在もまた日韓関係が冷え込んでいるし、さらにはコロナ禍によって交流もままならないが、こうした時期にあらためて韓国について考えてみたい。2020/08/03

かふ

22
著者である四方田犬彦は、映画本を読んでいたので(本人は映画評論家ではないと言っているそうだ)、なんとなく購入していた。韓国映画ブームもあったのか、そのへんのことも書かれていて面白い。ここで書かれているにはひと世代前の韓国のことで、韓国では世代間ギャップが日本以上に激しいという。それは、韓国フェミニズムが日本以上に進んでいることからも伺えるだろう。ここでは、そういうフェミニズム的な話は一切ない。以下、https://note.com/aoyadokari/n/n99f0d581820b2022/06/07

まちゃ

13
2000年代の風景なため古くはあるが著者が実際に見たソウルの街について書かれているので、信頼性のある記述だった。入国審査の緩さは10年前も今も変わらないっぽい。韓国が政策で1954年の民族光復以来日本文化を禁止していた間も、実際には非公式に複写した日本映画が入手できていたなど水面下での文化交流は続いていた点など意外にも日本文化の需要はあったようだった。2021/11/27

たす

11
映画史・比較文化を専門とする研究者が、1979年と2000年にソウルに長期滞在した際の経験を元に、大衆消費社会の到来と伝統への回帰といった様々な国で見られる内容と共に、朝鮮戦争や民主化運動、日本の存在といった韓国特有の事情を絡め、1979年と2000年を比較しながら考察していく。2000年以後の日韓ワールドカップや韓国ドラマブームしか知らない私にとって、「近くて遠い国」という韓国が確かに存在していたことを実感させられた。文才のある著者なので、外国での長期滞在エッセイのようにも読むことができ、面白かった。2023/07/17

二人娘の父

10
映画や文学が専門の著者による、約20年前のソウル(韓国)社会の雑感。そもそも1979年に訪韓した際のことを振り返る内容で、そこには私の知らないソウルのにおいが濃厚にたちこめている。映画「JSA」「ペパーミントキャンディー」の背景も詳しく解説されている。この記録からさらに20年以上が経っている。いまのソウル(韓国)は、著者からはどう見えているのだろうか。2023/05/24

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