岩波新書
人間の限界

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  • サイズ 新書判/ページ数 224p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004120797
  • NDC分類 114
  • Cコード C0211

出版社内容情報

人生の途上で行き会うのは喜びよりもむしろ辛く苦しい事どもであるに違いない.そんなとき誰もが意識するのは,さまざまな形で現われる人間の限界という問題であろう.生をがんじがらめにするこの人間の限界に,われわれはいかなる意味を見出すべきか.この重い問いに著者は実存分析(人間学的精神病理学)の立場から迫ろうとする.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

とみぃ

24
「科学的な抽象と日常生活の事実とのへだたりは「人間にとっての意味」で埋められねばならない」、これが本書のモットー。生きる、見る、手、足から、道、地平、空まで、科学的・客体的なそれではなく、人間にとって、人生にとって意味を持つものとしてそれらが追求される。いきおい、その行文は文学や哲学、語源や比喩がふんだんに織り込まれる。もう一つ、「人間の、肩をそびやかした「勇姿」は強調され、行動は「予測」され、「進歩」は礼讃されても、人間存在の限界への謙虚な反省はなされなくなった」という限界へのまなざしも本書を貫く姿勢。2021/02/23

阿呆った(旧・ことうら)

15
<執着とルサンチマンのかたまりこそ人間の真実> <他者にまなざしを向けられることは、同時に他者のまなざしになることである。>■著者はフランクルの『夜と霧』を訳した臨床心理学者。哲学、心理学、文学の角度から身体や大地・地平を考察した本。2017/03/12

アムリタ

13
これほどの良書が長いこと絶版だったとは信じられない。手軽に読めるハウツーものやどうでもいいものが多過ぎる。それだけ今の人々は安易な道を好んでいるからだろう。 ヴィクトール・フランクル「夜と霧 ドイツ強制収容所の体験記録」の訳者でもある霜山氏の、戦争体験による生きる意味についての深い洞察とキリスト者としての信仰に裏打ちされた傷んでいる者の目線から世界を眼差す有りように強く心を揺さぶられた。 生きるのは綺麗ごとではない。 現界だらけの中で生きねばならない。だからこそ足跡は美しい。それは死んでも消えない。 2022/07/26

讃壽鐵朗

7
引用文の豊かさはいかに著者か博覧強記かということを表しているが、それらを読んで本当に理解できる読者はほとんどいないだろう。 人間学が、実に難しい学問であることだけはわかった。 2022/02/22

mitya

6
学者然とした文体で、難しい熟語が多用されているが、内容はとても深くて、ここまで人間が生きるということを意識的に考えている人はなかなかいないと思った。人間自身の営みや死について、また、人間を取り囲む地平や蒼穹に対して深く考察されている。2016/08/23

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