越境するクレオール―マリーズ・コンデ講演集

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  • サイズ B6判/ページ数 255,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000222600
  • NDC分類 950.2
  • Cコード C0098

出版社内容情報

カリブ海の小国から出て,いかなる場所,いかなる潮流とも距離を置きながら,創作しつづけるディアスポラの女性作家による本邦初の評論集.カリブ海文学への格好の手引きであり,クレオールの限りない可能性を示唆する.

内容説明

フレンチ・クレオールの文学は、これまでマルティニックの男性作家中心に紹介されてきたが、マリーズ・コンデは、グァドループ出身の、黒人女性であり、フランス語の枠を越えた、カリビアン・ディアスポラ文学を代表する作家である。彼女は、私探しの果てしない旅を通して、カリブ海とフランス、アフリカとアメリカをつなぐ存在であり、小説家、劇作家としてだけでなく、文学理論家、黒人解放運動の歴史家としても精力的に活動している。本書はカリブ海文学への格好の手引きであり、同時に「クレオール」の可能性を大きく広げるコンデの回顧と展望の書である。

目次

第1部 私の言葉を求めて(肌の色、言葉の違いを越えて;私の「帰郷ノート」―アフリカとの困難な関係;女たちの言葉)
第2部 カリブ海文学の軌跡(サンジョン・ペルス讃;エドゥアール・グリッサンとアンティールの奪還;英雄とカニバル―アンティール文学における書き換えと侵犯)
第3部 グローバル化とディアスポラ(われわれの真実を求めて;すばらしき新世界;入る旅人、出る旅人)

著者等紹介

コンデ,マリーズ[コンデ,マリーズ][Cond´e,Maryse]
1937年カリブ海の仏領植民地グァドループに生まれる。黒人中産階級の家に育ち、16歳でパリに留学、ソルボンヌで文学を学ぶ。1960年ルーツを求めてアフリカに渡り、ギニア、ガーナ、セネガルを転々、12年間フランス語を教える。その後パリに戻って、75年に比較文学の博士号を取得。76年に処女小説『ヘレマコノン』を発表。84年、歴史小説『セグー』がフランスでベストセラーに。『わたしはティチューバ』でフランス女性文学大賞、『生命の樹』でアナイス・ニン賞、『デジラーダ』でカルベ賞を受賞。現在は、ニューヨークのコロンビア大学でカリブ海文学を教える

三浦信孝[ミウラノブタカ]
1945年生まれ。中央大学文学部教授、フランス文学・思想
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

スミス市松

12
「アンティール文学は、つねにある共同体の表現たらんとしてきました」――カリブ海文学の最たる特徴がこの一文に集約されているのではないか。元来、文学とは一つの言葉に対して一人の読者が〈私〉のイメージを描き出すことに端を発する孤独な営為であるはずだが、この地域の文学は――あらゆる父祖伝来的文化が奪われているために――つねに〈私〉が〈われわれ〉と見なされる可能性をはらんでいた。カリブ海の文学作品において多くの場合に島の歴史が主題として登場し、語りが叙事詩性/口誦性/カーニバル性を伴うのもその帰結であるといえよう。2019/04/07

吟遊

12
アンティールから旅立ち、コロンビア大学で教え、また故郷へ。「クレオール」をめぐる言説の変遷、概念の微妙な差異、論じる者各々の立場や出自を丁寧に解きほぐしていく。2018/11/27

qbmnk

1
マリーズ・コンデの講演やエッセイは読みやすく面白かった。各章に日本人研究者が書いている文書はすこし難解。コンデの小説を読みながらこの本を読んだので、作者の語る自身の文学的背景など興味深く楽しめた。カリブ海諸地域や欧米のカリブ系有色人種、クレオール文化など現代のグローバリズムの先駆けのように感じられた。コンデの明るい雰囲気が伝わってきて良かった。2018/11/19

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