内容説明
インストラクションは大きく2つに分けることができる。道路標識や案内、地図、説明書やプレゼンテーションなど、その場その場で適切な行動を引き出そうとするものと、算数の授業や英会話レッスン、パソコン講習のように、学び手の行動を後々まで変えようとするものである。本書では、これまであまりまとめられたことがない後者のタイプのインストラクションについて取り上げ、分かりやすい授業やレッスンや講習会などを開発するための考え方を紹介する。
目次
前編 インストラクションの鉄則(何を教えるのかをはっきりさせる;学びにコミットする;教える理由をはっきりさせる;成功の基準をはっきりさせる;標的行動を見せてやらせて確認させる ほか)
後編 インストラクションのデザイン(本当にインストラクションが必要ですか?;しない・できないの原因は?問題の原因分析;何を教えるか明らかにする 課題分析(1)
何を教えるか明らかにする 職務分析
何を教えるか明らかにする 課題分析(2) ほか)
著者等紹介
島宗理[シマムネサトル]
1989年慶応義塾大学社会学研究科修了。1992年Western Michigan University心理学部博士課程修了。Ph.D.取得。1995年鳴門教育大学・人間形成基礎講座助手。1997年鳴門教育大学・学校教育研究センター・教育工学分野。2000年鳴門教育大学・学校教育実践センター・教育メディア開発分野。助教授。Ph.D.(心理学)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コジターレ
5
インストラクショナルデザインについて体系的に書かれている本を読んだ後では、物足りない。初心者向けに分かりやすく書かれているが、どの理論のことを指しているかについての説明が不十分なので、理論に基づいた整理がしづらい。良書だと思うが、今の僕のニーズには沿わなかった。2022/05/30
ぴーたん
4
この本、大好きで家と職場に1冊ずつあります。何かを教える人、先生は必読の書。インストラクションとは、「何かを教える」こと。何らかの行動を引き出すための仕掛けであり、インストラクションが成功するためにはデザインが不可欠である。学び手は常に正しい。学生の間違いは、教え手の説明が分かりにくかったり、解説が不十分だったりすることが原因。「わかりましたか?」で安心してはならない。教える前に定期テストの問題を作っておくと、自分が何をどれだけ教えなければならないのかはっきりする。意外とこれができてない!気をつけよ。2016/03/18
きつね
4
シンプルでするどい。教師以外にもコーチ、職場研修にも応用可とのこと。140「『テストでは測りきれないようなことが教育の本質である』といった意見…の背景を探っていくと、教えようとしていることがはっきり決まっていないか、教えようとしていることが教えられたかどうかを測る方法が技術的に未熟か、そのどちらかであることが多い」 64「教えようとしていることがうまく教えられないとき、教え手は《個人攻撃の罠》に陥りがちだ。…学び手や教え手の能力や適性、やる気のせいにしてしまって、改善のためのアクションをとらないことだ。」2013/06/29
ごる
3
自分のやりたかった授業作りのステップ化がすっきりとまとまっている本。 ただ、読もうと思えばすっと読めちゃう本だけど、全部を遂行するのは難しい。本の中では、インストラクショナルデザインにも損得勘定をすることも必要と書いてあったけど、自分に出来るところからやっていこっと。 次は「授業設計マニュアル」でもよんでみるかしら。2014/03/13
iwtn_
2
何かを人に教える際の設計行為、タイトルのインストラクションデザインについて、コンパクトにまとまった、間違いない良書。何かを教える行為をする人は座右に一冊持っておきたい。何度かコンピュータにも言及されているが、何かサービスを作る際もユーザーにインストラクションするという行為を必ず含むため、この知識と手法は間違いなく知っていたほうがいい。 教育、特に今の日本の教育に関しても、あえてその言葉を避ける理由を書くほど問題に言及していて、定量的な評価の不足、教条主義に陥っているという主張に全く同意する。2021/01/31