目次
第１部 本論―政治と偶像崇拝としての人権（政治としての人権；偶像崇拝としての人権）
第２部 コメント（人権を基礎づける；ＰＴＡその他との論争；道徳的想像力と人権；相対主義と宗教）
第３部 コメンテーターへの応答（尊厳と主体的行為能力）
著者等紹介
イグナティエフ，マイケル［イグナティエフ，マイケル］［Ｉｇｎａｔｉｅｆｆ，Ｍｉｃｈａｅｌ］
１９４７～。亡命ロシア貴族の末裔としてカナダのトロントに生まれる。トロント大学卒業。ケンブリッジ大学キングズ・カレッジのシニア・リサーチ・フェローになると同時に英国に移住。テレビのプレゼンター、雑誌への寄稿、著作活動を通じて、現代英国を代表するジャーナリストとして活躍する一方で、アカデミズムの世界でも活躍。２００５年末、それまで教授として人権論を講じていたハーバード大学を辞し、翌年カナダ下院選挙に立候補、当選
ガットマン，エイミー［ガットマン，エイミー］［Ｇｕｔｍａｎｎ，Ａｍｙ］
プリンストン大学教授（政治学）
添谷育志［ソエヤヤスユキ］
１９４７年栃木県生まれ。東北大学大学院法学研究科博士課程単位取得。政治学／政治理論／政治思想史専攻。明治学院大学法学部教授
金田耕一［カナダコウイチ］
１９５７年広島県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程単位取得。博士（政治学）。政治学／政治理論専攻。日本大学経済学部教授（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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うえ
7
イグナティエフ論文とそのリプライが収録。イグナティエフは作家ゴーディマの世界人権宣言に対する「人類教そのもの」という発言を取り上げる。人権はそれをとったら何もなくなる「世俗文化の重要な信仰箇条」となったと言う。人権を世俗宗教と考えるのは誤解であり、ヒューマニズムを崇拝するヒューマニズムになってしまうという。人は人権という考え方を「生まれながらにして尊厳が内在」し本性的かつ本質的に値打ちがあり聖なる存在であるといった主張に結びつけたがる。しかし実質的に役立つものとして考えようと主張する。2021/10/04
ﾄﾏﾄ･ﾃﾞﾗｯｸｽ
1
マイケル・イグナティエフの論文に対しさまざまな学者が反論していく議論型の本。例として挙げられるものの背景が分からず、理解に苦労したが、辞書を引きながらコツコツ進んで読んだ。先進国にいると考える機会がないが、これをきっかけに人権に対する考え方も変わった。そもそも人権は当たり前ではないのである。大変有意義な一冊だった。2013/04/08
void
1
【★★★☆☆】イグナティエフの提起と4人のコメント及び応答（＋編者の序文）。「政治以外のなにものでもない」人権を普遍的原理とするには、ロールズの希薄理論のように薄く、しかし確かに必要なものとして認めることが必要だ。「残虐、抑圧、品位を貶めることから」の自由、つまり消極的自由及び熟議デモクラシーのように「参加」する権利、それを満たす正当な手続がその内容となる。人権を「偶像崇拝」せずプラグマティックな道具として捉えるなど実践的かつ真っ当な理論・落とし所という印象。2012/10/29
