ユダの福音書を追え

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  • サイズ B6判/ページ数 389p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784931450608
  • NDC分類 193.9
  • Cコード C0016

出版社内容情報

1700年前の禁断の書「ユダの福音書」に記されたイエス最後の日々。
発見、復元、解読に迫った衝撃のドキュメント。

本書は『ユダの福音書』写本が発見された経緯、真贋の検証、そしてその衝撃的な内容を伝えるノンフィクション。『死海文書』発見などにならぶ考古学的な大発見でもあり、宗教界に衝撃を与える問題の書です。

『ユダの福音書』写本は“裏切り者”というユダ像をくつがえすもの。聖書では、イエスは弟子のユダに裏切られて、十字架にかけられました。結果、ユダの名前は裏切り者の代名詞になり、ユダヤ人迫害の根拠にもなりました。しかし写本の内容は180度異なります。写本ではイエスは自らの魂を“肉体の牢獄”から解放するために、ユダに指示して密告させたとあります。これはユダの名誉回復だけでなく、イエスの死と復活を重視するキリスト教を揺るがしかねない衝撃的な内容です。

【著者紹介】ハーバート・クロスニー
米国ハーバード大学卒。調査報道記者として映像関係で30年のキャリアを持ち、BBCなど世界のテレビ局のために記事を作っている。米国CBS放送などで長年ドキュメンタリー分野の仕事をした後、イスラエルとニューヨークで会社を設立した。『イスラムの核爆弾』の共著者。

内容説明

イスカリオテのユダ。銀貨30枚で師イエスを裏切ったこの男は、古くから忌み嫌われてきた。だが歴史は、ユダをめぐって別の物語があったことを伝えている。ナショナルジオグラフィック協会の支援でこのほど修復・解読された『ユダの福音書』によれば、ユダは裏切り者ではなく、イエスが深く信頼していた使徒だったという。正統派の教義とは相容れないこの『ユダの福音書』は“異端”の烙印を押され、歴史から葬り去られた。だが1700年後、失われたはずのこの福音書のコプト語写本がエジプトの砂漠で見つかった。この写本はそこから人々の思惑に翻弄され、数奇な運命をたどった末に、朽ち果てそうになる。本書は、この『ユダの福音書』が、消失の危機からよみがえり、苦心の修復・解読を経て、その驚くべき内容が明らかになるまでを、入念な取材でたどった渾身のノンフィクションである。

目次

砂漠の墓
大金を求めて
イエスを裏切る
大物の古美術商たち
窃盗事件
最初の調査
ナグ・ハマディの栄光
煉獄
学者たちの追跡
米国にいた「ユダ」
ガリアの異端紛糾者
フェリーニとの対立
風化
暴露
パピルスのパズル
『ユダの福音書』

著者等紹介

クロスニー,ハーバート[クロスニー,ハーバート][Krosney,Herbert]
歴史読み物やドキュメンタリー映画を手がけ、数々の賞を受賞している米国の作家兼映画製作者。これまでナショナルジオグラフィックをはじめ、BBC、PBS、ヒストリー・チャンネルから著作や映像作品を発表している。主な著書に「福祉を超えて:大都会の貧困」「死の商人たち:武器の合法取引と密輸」などがある。ハーバード大学を卒業後、新聞報道の仕事に携わってきた。現在はニューヨークとエルサレムに住む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

82
ユダの福音書にまつわるノンフィクションでした。存在を知られていなかったユダの福音書が発見され、世間の目に触れるまでの紆余曲折が語られていきます。発掘に至るまでの豊富なエピソード、ユダの死とそこからもたらされた影響が述べられているのが興味深いところでした。実際、古文書として内容をよく知られていないまま売買されている状況は結構あったのかもしれず、その研究は最近になってやっとなされたと言った感は否めません。ユダの福音書の内容や、キリスト教にどう影響を与えたのか、もう少し知れれば言うことなしなのですが。2016/11/21

こぽぞう☆

17
初期キリスト教に興味があったので、これと「ユダの福音書」まとめて購入。福音書の内容のチラ見や、書かれた当時の環境なども挟みつつ、主に1700年前に作られた写本の発見から、無事修復、翻訳されるまでのおはなし。「ダ・ヴィンチ・コード」みたい〜って、あっちがこっちの真似で、これはノンフィクション。非キリスト教徒がマジョリティの日本人が読んでも衝撃度は少ない。原著はひとりで書いているのに、翻訳者の人数が多すぎて全体としてのまとまりに欠けていた。2019/12/27

かんやん

17
学術的な部分は薄く、70年代の古文書発見から研究・発表に至るン十年に渡る古美術商や学者のすったもんだを追いかける。盗難、詐欺、脅迫、確執の間に、貴重な文書が保護されることなく、銀行の貸金庫でどんどん朽ちてゆくのに胸が痛む。しかし『ユダの福音書』、このタイトルを見いだしたときの驚きはいかばかりだったろうか。4世紀にギリシャ語からコプト語に訳されたもので、グノーシス派のもの。教祖が亡くなると、どんな宗教でも派閥争いがあるなあ。元からあった自分たちの宇宙観にイエスを取り込んだということなのか。2017/11/06

拓也 ◆mOrYeBoQbw

14
ノンフィクション。それまで存在が知られていたのですが、本体が見つからなかった”ユダの福音書”が21世紀になり世に出るまでの経緯を綴った作品。70年代に見つかったユダの福音書がブラックマーケット流れ続けた様子と、世に出てからの分析、それと1~4世紀のキリスト教とグノーシスに関して詳しく書かれています。グノーシス主義が排除されユダが有耶無耶なまま裏切り者とされる流れは、ディストピア文学のモデルの一つで、ディストピア文学が過去のキリスト教の文書捏造や歴史改竄を批判を一つの根源としてるのが良く理解できますね。2015/11/17

たみ

12
初期キリスト教の文書が発見されてから、紆余曲折ののちに修復・解読されるまでのドキュメンタリー。内容が不明のまま発見され売買され盗難され放置され破損し劣化し、文書自体も波瀾万丈だけど来歴を調べた人もすごいなあ。証言しかなく事実を確かめようがないなどで推測も見られますが、どうしようもないんだろうなぁ。古い貴重な文書だからといってすぐ研究されるわけじゃないんだねぇ。まだどこかにすごい内容の文書が誰にも知られないまま眠っているのではないか、というロマンを覚える本でした。いや~、しかし目がすべったな…2014/11/11

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