知った気でいるあなたのための構造主義方法論入門

高田 明典【著】

夏目書房（1997/08発売）

• サイズ A5判／ページ数 306p／高さ 22cm
• 商品コード 9784931391291
• NDC分類 116.9
• Cコード C1010

内容説明

間違いだらけの「構造主義」理解に一石を投じる「知の福音書」！構造主義は極めて単純かつエレガントな構成を持っている思想なのです。

目次

第１章　構造主義への招待
第２章　構造主義の歴史的展開
第３章　構造とは何か
第４章　真理の存在は、どうでもいい
第５章　外部世界は実在するのか？
第６章　科学の目的は真理の探究などではない
第７章　構造主義の手法
第８章　構造主義への疑問や反論

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[ブロッコ・リー]

行動や事象を複雑なままに分析する事はできない、必ずそれらに向かうベクトル＝構造がある。その構造モデルを作り更にその中からそれらを制御できる変数を見つけたり、無理ならば上位構造を作り上げて制御を試みる。構造の説明概念である暗喩（無意識、欲求等）の存在・非存在を論じても不毛。その罠に嵌り込んでそれらの存在を探求したり疑問を投げつけて議論を混沌とさせる輩も多いが同様に不毛。

2010/03/05

[Z]

工学部出身者の書く構造主義入門。工学部らしく、かなりプラグマティックで、ほとんど構造主義が目的達成のための制御の学問と、サイバネティックスと同義になってしまった。この本から構造主義の特徴取り出すと、実体の否定(言葉によって認識するためラベル間の関係のみ問題)、知覚の対象の表層と表層を動因たる深層をうまく説明するためのモデルの構築、構造モデルと制御モデルの構築による予測ないし、事態に対する対処法を構想すること等とかなり明確に構造主義を定式化。良し悪しはわからないが、これ読んで損はないと思う。

2016/07/20

[monado]

構造主義の概説というより、構造主義の方法論の概説。いわば構造主義を支えているフレームについて論じている。解くべき問題を整理して、視点を明確化しており、ポスト構造主義にありがちな不用意な複雑さを批判している。 個人的には、こういう割り切った考え方は好きだし、実用的でもある。

2013/11/29

[ペンゾー]

「科学は真理を追い求めるもの」と勘違いしている人に読んでほしい本。アインシュタインも述べたように、科学の目的は「経験を、論理的な体系の内部で矛盾なく記述すること」である。真理なんて誰も判定できない。

2018/03/13

[Jun]

「サピアの研究は単語と概念の相同性を指摘している。brotherではなく兄と弟を分けるのは、年齢を重視する文化を示す。才女と美人には、才能あるのは男、美しい人間は女と考えてきた痕跡があると言える。が言語と文化どっちが先かは結論ないし無意味だ」「暴力やいじめでまずいと思ったけど言い出せないという言い訳は、戦争と似ている。発展途上国を見てまずいとは思うがじゃ何をすべきかの有効な答えは存在しない。構造は個人の蓄積のはずなのに個人を凌駕して存在する。大多数が否定する現象がよく起きる場合どう考えるべきか？」

2020/08/01