内容説明
旧支配者の復活と恐怖をめぐって、プロヴィデンスの街に起こる惨劇を描いたH・P・ラヴクラフトの傑作「闇をさまようもの」をはじめ、その後日譚を描いたR・ブロックの「尖塔の影」。太古よりの伝説の謎と恐怖がボストンの街に甦るH・ヒールド「永劫より」。R・E・ハワードが描く伝説の都アッシュールバニパルの玉座に眠る呪われた宝石をめぐる冒険譚「アッシュールバニパルの焔」など8編を収録。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
112
本巻は、贅沢な一書でないかと思う。ラグクラフトの「闇にさまようもの」や、「閉ざされた部屋」、はたまた、ロバート・ブロックの「星から訪れたもの」、R・E・ハワードの「アッシュールバニバルの焔」が収録されている。ここで挙げた以外の作品も、俊一な作品ばかりであり、クトゥルー神話の世界を堪能するに最適な一書ではないかと考える。クトゥルー神話に興味がある方は、ぜひ手にとって読んでいただきたい一書だ。2015/05/09
トミーリョ
11
最初の三篇は作者同士のお遊びと手記風の語り口が相まって、いい感じにフェイクドキュメント的なリアリティーが醸しだされているのがナイス。特に尖塔の影は対決場面の緊張感と魅力溢れる敵役の描写が素敵すぎ。手に汗握る冒険活劇譚『アッシュールバニパルの焔』など収録作も多彩で飽きさせない。中でも『イグの呪い』は実質ラヴクラフト作品の割には導入が冗長でなく、なおかつ恐怖の対象も蛇のタタリという日本人にも馴染みやすい題材でオススメ。終盤のサスペンス描写は圧巻。サイコホラー色が強いせいか、クトゥルー読んだ気にはならないけど。2013/09/30
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5
**注)ホラー**クトゥルーネタの小説読解の為に7巻目読了。"闇をさまようもの"が一押し。ネタバレ回避で申しますと、この"闇をさまようもの"程、後のクトゥルー作品を書いた作家に影響を与えた作品はないと思っています。私は"ナイアーラトテップ"を上回る敵役の小説を読んだことがありません。そして、そう感じた様々な作家がこれを元ネタにした作品を書いています。他作品に多大な影響を与え、ホラーからラブコメまで出ているクトゥルー小説を読解したい方にお勧めします。2012/02/04
コズマ
4
最後の『閉ざされた部屋』がクトゥルーシリーズでよくある「手記や新聞記事を手掛かりに真相に迫る」というやつで面白かった。風景や建物の描写が多すぎる。2021/08/09
Smith, Ordinary. Person.
4
ラヴクラフトとブロックは、互いに殺し合うほどの仲でした。ブロックは自身の作品の中でラヴクラフトをモチーフとした人物を殺した点について、事後許可を彼に求めました。ラヴクラフトは快諾し、更にユーモアたっぷりに「殺害許可証」まで作成したのです。更にラヴクラフトはお返しとばかりに、後に書いた作品の中でブロックをモチーフとした人物をナイアルラトホテプに捧げました。そしてラヴクラフトが没した後、ブロックはその続編を書いたのです。7集は、そんな二人の友好関係から生まれた三作品を含む八編を収録。2021/06/19