内容説明
マサチューセット州アーカムにあるミスカトニック大学所蔵の異端書「ネクロノミコン」そこには失われた都市や国々の記録、さらに人類誕生以前の怖るべき暗黒の歴史が記されていた。はるか永却の昔、超越神との闘いに敗れ、星々と地球の奥深く封じ込められた暗黒の神々が今やよみがえろうとしているのだ。幻想文学の巨星ラヴクラフトが創造した“クトゥルー神話大系”ここに開幕。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナーキー靴下
68
久々にクトゥルーを読んでみたくなり再読。本シリーズはラヴクラフトだけでなく他作家の作品も纏めたもの。1巻だからか王道的な展開が多い印象。神話体系化に寄与したとされるダーレスの作品も収められているが、よく言われる善悪二元論や四大元素云々の付加より、あくまで主観的なものであるはずの恐怖や嫌悪の言葉が、その存在を表す枕詞か二つ名のように使われ始めた、という点こそが神話化の肝であるように思う。収録作「ハスターの帰還」はダーレスの愛と情熱が詰まった素晴らしい作品。傑作、とは思わないけれど、好きだなあ、って思う。2023/04/05
Bugsy Malone
62
クトゥルーといってもラヴクラフト以外の海外の作品は一部しか読んでおらず(確かにどれも面白かったのだが)、クトゥルー神話大系がどういうものかということは、解説書等を読んで理屈では分かっていても今ひとつピンと来なかった。1926年の「クトゥルーの呼び声」から1957年の「ルルイエの印」と各年代の作品が収録された本書を読むに至って漸く、クトゥルー神話が大系として広がって行く過程に触れられた気がした。「クトゥルフ神話への招待」で入ったこの世界。まだまだ探求して行かなければ。2017/01/05
ヴェルナーの日記
36
クトゥルー神話は、ラヴクラフトによって端を発し、彼に共感する作家たちが肉付けして完成させていった神話である。この物語に登場する怪物たちは人外な異形のモノで、外宇宙と呼ばれる世界から、古代の地球に到来した、いわば異性人といえる。しかし、個々の能力があまりにも絶大であったため邪神として崇められる。しかし、ある時点おいて旧神と呼ばれる種族たちと壮絶な戦いの結果、戦い敗れてあらゆる箇所へ封印されてしまう(基本的に不死身なので、殺すことはできなかった)。しかし、超遠な時代を経て、少しずつ封印が解かれようとしていた。2014/08/21
シン
32
20年近く読もうと思って読んでなかったシリーズ。 クトゥルフ神話に連なる短編集。 なかなかに楽しかった。 あえて似た構成の話を集めてあるのだと思うのだが、 ちょっと飽きてしまうがもったいない。 また時系列に並んでないのでわかりにくい。 (ちょこちょこ知ってるからなんとかなるが) と、文句を言いつつもこういうのはやはり大好きではある。 また巻末の神々の設定を読んでいると、 レベルの高い黒歴史のようにも感じて共感をおぼえる。 それにしても音の使い方が巧い。 「いあ いあ」 が妙に気に入った。2017/09/06
Tui
21
有史のはるか以前にあった暗黒神話の世界が忍び寄る。その姿が人の目に触れることは滅多にありません。古い文献や言い伝えに、そして夢の中に現れる、おぞましい気配。屋敷の周囲や床下で地響きが起こり、生臭い異臭とともに粘着質のうめき声が轟くようになり、そして…。実際その場にいたら、途中で発狂する(か、さっさと逃げる)でしょう。しかし本書の記述者は身を挺し、たいてい最期まで実況中継してくれます。それがクトゥルー神話の様式美。地の底から五感に押し寄せるプリミティブなホラーを堪能できます(ホラーではないっ!と怒られそう)2016/12/19