肩をすくめるアトラス 〈第1部〉 矛盾律

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  • サイズ 文庫判/ページ数 548p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784908222016
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nekozuki

17
3部作第1巻。タッガート大陸横断鉄道の女性経営者ダグニーが困難に立ち向かいながら、路線の再建を目指す姿を描く。著者は「保守の女神」と呼ばれているそうで、難解であるもののメッセージ性の強い著作は米国の様々な財界人に影響を与えているとのこと。公平性の名の下に、独占的利益をあげるタッガートを阻む法律が次々と生まれる中で、情熱的に鉄道の運営を続けるダグニーの姿には、日本の経済小説では見られない、偶像としての力強さがある。アメリカの経済成長に対する思想の根底を感じることができる作品。2019/11/17

道楽モン

15
1957年当時、この作品はリアルタイムの架空物語であった筈だ。ところが現実のアメリカは、この作品に影響を受けた、後に大富豪となるイノベーターたちの使命感と権利意識によって極端な富の偏在を招くこととなる。共産主義化するロシアから逃れアメリカにたどり着いた女性作家の産み出した小説が、リバタリアンや新自由主義者にとっての正にバイブル的な存在であったことは、ビル・ゲイツやトランプ、ジョブズの初期衝動から派生した大企業がタックスヘイブンに本社を移し、巨万の富を独占していることが何よりの証明だ。文庫全3巻の第1巻目。2023/09/12

ガオシャン

11
作者の思想がバチバチです。3巻中の1巻で500ページもあったのに、今のところ話を動かすキャラの思想が2種類しかなくて、作者の思想vs作者が叩きのめしたい思想、になってる。両者とも、賢さと視野の狭さが釣り合わないし、お互いの思想に一切近寄らない。極端すぎる。65年前の作品なのでわからないけど、今後、資本主義の中で勝ち抜くことこそが社会貢献で正義の主人公達と、本当の意味で福祉こそ正義みたいな人たちとが戦ってほしい。世の中にはどっちも必要だと思うから。あと、ロマンスシーンがほんとに何言ってるかわからない。2022/01/06

きみー

9
亀のような速度で、ゆっくりと読了。これがあと2冊もあるだなんて…幸せなような辛いような。アメリカの大陸横断鉄道を中心に巡る人たちの生き様が描かれます、が、なかなかくどい文章に所々話から置いてかれることも。ただ、人と人の対比がとても上手く、かつ関係性の掘り下げでグイグイ話を進めていくので面白く読めました。公平性をこれ程までに気持ち悪く描けることが、興味深いです。何が健全で何がそうでないのか、「社会のため」は何を意味するのか考えさせられます。 ところで、「ジョン・ゴールト」って何者なんでしょう?2016/06/27

hurosinki

7
あまりにも有名な小説。他の人の感想も山とあるので、ここで自分が好き勝手に述べても差し支えないだろう。20世紀中盤に頂点に達した国家の公共性と包含性に対抗して、専ら自己の目標達成を配慮する、合理的で特殊な主体からなる市民社会の自律性を称揚したもの。オーウェルが行政国家化の完成における政治的自由を描いたとしたらこの作品は経済的自由を描いたものと言えるか。ただし1984の体制は監視したり殺害したり拷問にかけたりと精力的だが、こっちはロビイングしないと妙な規則を作って事業を妨害するぐらいなのでそこまで悲壮感はない2021/02/26

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