内容説明
永遠にかみ合わない議論、罵り合う人と人。その根底は「具体=わかりやすさ」の弊害と、「抽象=知性」の危機がある。「具体」と「抽象」、この動物にはない人間の知性を支える頭脳的活動を、ビジネスコンサルタント・細谷功が読み解く。さらに漫画家・一秒が、具体的言説と抽象的言説のズレを、各テーマに沿った四コマ漫画で描く。
目次
抽象化なくして生きられない
数と言葉―人間の頭はどこがすごいのか
デフォルメ―すぐれた物まねや似顔絵とは
精神世界と物理世界―言葉には二つずつ意味がある
法則とパターン認識―一を聞いて十を知る
関係性と構造―図解の目的は何か
往復運動―たとえ話の成否は何で決まるか
相対的―「おにぎり」は具体か抽象か
本質―議論がかみ合わないのはなぜか〔ほか〕
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
122
とってもわかりやすくておもしろかった。タイトルの通り、具体と抽象という軸で人間の思考を区別し、それぞれの思考の役割について解説している本。どちらかというと抽象的思考の重要性を解いている。おそらくこの本を読むのはそもそも抽象的な思考ができる人が多いと思うんだけど、なぜ抽象的に考えることが大事なのかという、言葉にできそうでできないことをすごく簡潔にわかりやすくまとめてくれていて、「そうそう、そうだよね」という頷きがしやすくなっている。4コママンガも多い。2021/03/02
ありす
44
『メモの魔力』で具体と抽象の説明本として紹介されていて読みました。とても面白く興味深い内容でした。具体的に話す人は正で、抽象的に話す人は負というイメージでしたが、抽象を使いこなすことが大事だなと感じました。具体的と抽象的が分かりやすい例で書かれており、レベルの差はあれど誰もが抽象表現を使っているなと思います。そして何よりも大事なのは、どちらかではなく具体と抽象をセットで使いこなすことが大事!読メで255文字以内で感想を書くことも訓練になりそうなので、制限内で分かりやすく書けるよう続けていきたいです。2019/11/18
ミライ
41
「抽象」に関して、マンガを交えて具体的にわかりやすく解説された良書。抽象と具体は、抽象を頂点とし具体を底辺としたピラミッド構造で構成されている、この例えが秀逸で、イラストを交えて解説されているので、最後まで混乱せずに読むことができた。コミュニケーションやプレゼンなどに応用できそうだったので、何度か読み返したい本の一冊。2019/01/06
なっぱaaua
34
これは分かり易い。具体と抽象の概念を理解する事で何故コミュニケーションギャップが生まれるのかが理解出来た。普段から具体と抽象を行ったり来たりしてるよね。そして抽象化するには思考を高めないといけない訳で。だから学校の勉強も必要だし、本を読んだり絵画を観たりという経験が必要なんだね。不連続な変革期には抽象度を高く、連続的な安定期には具体性の高い議論が必要となるという点、今更ながら成程と思う。では今は抽象度が必要な時代なんだな。具体と抽象を意識して行動してみよう。2021/03/06
uD
26
「具体=わかりやすさ」「抽象=わかりにくさ」と認知されているのが一般的ですが、本書で“抽象化”することの意義と重要性について説いています。結論としては『具体と抽象』どちらも必要であり、両者を切り替えながらの反復思考が広範な視野に繋がるということだと思います。 この本の内容こそが、身近な具体例とそれらに共通する抽象概念という構成になっており、「わかりやすさ」を実現しています。ピラミッド図を用いた抽象度は、日頃から意識していきたい。「一見異なるものの共通点を探す」ためにも、読書や映画鑑賞を続けたいものです。2019/02/19