内容説明
落語ではまずお目にかからない女の子が登場し、しかも主人公をやるという珍しい噺で、そのせいか、落語らしいナンセンスというよりは、ホノボノとしたはなしで、場面転換も多く、ラストがいかにも映像的。登場人物の名前は、みんな縁起のよい字がつく。「お春」は「新春」にちなんでいます。鬼の面をつけて顔を出すところは、どろぼうたちの前になっていますが、落語ではバクチをしている男たちの前です。仲々うまいオチですが、「来年のことをいうと鬼が笑う」という諺を知らなくても、気のいい人たちの善意が集まって迎えるハッピーエンドに、思わず鬼も目尻をさげたと感じてもらえたらいいと思いましたし、この絵本が、この諺を知る始めであってもいいと思います。
著者等紹介
川端誠[カワバタマコト]
1952年生まれ。シリーズごとにテーマや表現技法をかえて、多様な世界を展開している。『鳥の島』『森の木』『ぴかぴかぷつん』『風来坊シリーズ』(BL出版)など著作多数。絵本作家ならではの的をえた絵本解説も好評。落語絵本は『ばけものつかい』『まんじゅうこわい』『はつてんじん(初天神)』『じゅげむ』(いずれもクレヨンハウス)。『おにのめん』は、「落語絵本」シリーズの第5作目
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
87
絵本。道具屋でみつけた優しい顔のお面は、お春のおかんにそっくりで、お春はそのお面をみては寂しい気持ちをなぐさめていた。若旦那はその姿を見て、あるいたずらを思いつく。お春のお面のかわりに、いかつい顔の鬼の面をおいておいた。鬼の面を見つけたお春は、母親に何か悪いことでも起きたのではないかと心配になり、奉公先を飛び出す。店のものたちがお春を探すが、近所に強盗が入りどこも大変。お春が薮の中を通るのに、草が顔にあたらないように鬼の面をつけて進むと▽節分、鬼の本読み聞かせ。面白い2023/01/26
海猫
52
機会あって朗読をした。なかなか捻りのある話で朗読しながらも感心。ぶっつけなので一度読んで伏線を理解した上で朗読すればもっと楽しんでもらえただろうなあ。2012/07/26
Smileえっちゃん
51
図書館本。 荒物問屋で奉公しているお春。いつも道具屋で立ち止まり、じっと見ているお面はおかんそっくり。それを見ておっちゃんはそのお面をお春にあげる。お春は何度もお礼を言って持ち帰り、大事にタンスにしまって、毎日見てはさみしさを慰める。それを見た若旦那のいたずらからとんでもないことに・・・川端さんの落語本。絵がユニークでオチもあって面白く読めます。2023/06/20
パフちゃん@かのん変更
48
お母さんの顔に似たおたふくの面を大事にしていたお春。そのお面をいたずらで鬼の面と替えられてしまい・・・。災い転じて福となすでしたね。2014/04/13
かおりんご
32
読み聞かせ(229)節分にちなんで読んでみました。来年のことを話すと鬼が笑うというオチだったのですが、2年生には難しかったようです。子供たちに馴染みの薄い言葉も多く、落語の読み聞かせの難しさを感じました。2018/02/08