内容説明
世界で最も有名な香水シャネルN°5を生み出した亡命ロシア人の調香師とはどんな人物だったのか。古来から王侯貴族が身にまとい、近代以降は多くの女性たちを魅了してきた香りの歴史をたどり、独自の発展をしたロシアの香水産業から文学に描かれた匂いの世界までを視野に入れ、芸術としての香水を追求したロシアの天才調香師の秘められた姿を浮き彫りにする。
目次
第1章(名香シャネルN°5;シャネルN°5のルーツ;シャネルN°5からロシアへ)
第2章(香りの歴史;文学と香り)
第3章(香水産業の近代化;帝政ロシアにおける香水産業の誕生;啓蒙と美)
第4章(ロシアの香水産業の歴史;ロシア香水産業の実態;香りの復活)
第5章(エルネスト・ボーのモスクワ時代;エルネスト・ボーの軍隊時代;エルネスト・ボーのフランス時代)
著者等紹介
大野斉子[オオノトキコ]
東京大学文学部卒業。2006年、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。現在、宇都宮大学国際学部専任講師。帝政時代を中心にフランスとの比較やメディア論等の視点からロシア文学・文化を研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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和草(にこぐさ)
5
実はロシアの人が作りあげたシャネルN゜5。ロシアの香りの歴史等の下地から丁寧に描かれています。ロシアとフランスの融合によってつくられた香水。2015/10/12
あらたま
4
シャネル#5を作った調香師エルネスト・ボー。ロシア人つかフランス生まれでロシア移住組ね。フランス軍に従軍してるし。アルデヒドが10倍とかロシアでのナポレオン人気とか初めて知る事多く、関連も調べて見たらココ・シャネルが売上でモメたってのも初めて知りました。それで対独協力とかしてたんか。2017/02/17
wasabi
2
あの「シャネルの5番」を生んだエルネスト・ボーを追う。彼はフランス人であって、亡命ロシア人として生きた調香師だ。香水の代名詞とも言えるシャネルNo5は、1920年にフランスで産声を上げて間もなく100年を迎える。そのルーツはロシアで作られたラレNo1であるという。18世紀のベルサイユ宮殿はバラの香り芳しく、その華麗な文化はロシアの宮廷に伝わる。しかし、ベルサイユは汚物や煙草による悪臭の巣靴でもあり、それさえそっくり伝えられた。香水に求められた裏事情、もちろん香りを芸術ととらえる欧州の豊かな文化も示される。2015/06/07
na_niga_shi
1
シャネル№5の前身とみられる同一の調香師が手がけた香水ラレ№1についてや、その時代のロシアの香水会社や文化について知らなかった時代の空気感が書かれていた。中でもシャネル№5の調香師エルネスト・ボーが戦時中にどのような振る舞いをしていたか、当時のボーが所長を務めていた収容所の捕虜による手記から浮かび上がってくる人物像は多角的で興味深い。2021/01/17
nitti
1
ロシアに旅行にあたってるるぶだったかを読んでいたらオススメ本に上がっていたので読んでみた。なんでシャネル?フランスでないの?って感じでしたが帝政ロシアとその終焉の時代についてかなり詳しく、文学、芸術に至るまで情報満載で興味深い本だった。また香りについて、歴史的な考察と、化学的な考察とがなされ、かなり魅力的な一冊だった。いずれ手元に置きたい一冊!!というかこの本を紹介したるるぶ?すげーな!調味なおしました。2017/06/19