スピノザ共同性のポリティクス

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  • サイズ B6判/ページ数 302p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784903127033
  • NDC分類 135.2
  • Cコード C0010

出版社内容情報

その政治的/倫理的思考の
革新性はどこにあるのか?
ドゥルーズ,ネグリの思想を踏まえ
〈群集―多数性〉による民主主義の基底をなす
〈喜び〉にもとづく集団的組織化の地平を示す

〈市民〉でもモラルでも
契約でもなく……

スピノザの倫理的な定式はただ一つ。「汝の活動力を増大させるように行動せよ」
すなわち「汝の〈喜び〉を最大限に味わうように行動せよ」。これだけである。
国家も共同体も法も制度もすべて、活動力の増大という生命活動のあとから要請されたものであり、その逆ではない。

【目次】

はじめに──〈喜び〉と共同性

第1章〈現代性〉「スピノザ・ルネサンスが意味するもの」
スピノザの復権 / 意識と思考 / 価値の転換 /〈悲しみ〉との闘い / 共通概念と〈社会〉

第2章〈倫理〉「〈善悪の彼岸〉を超えて」
ニーチェにおける〈善悪の彼岸〉 / スピノザにおける善と悪の問題 / 集団的身体と力の構成主義

第3章〈理性〉「合理主義のメタモルフォーズ」
理性と共通概念/ 運動および静止 / 諸身体の共通性 / 能動性と理性 / 活動力と喜び / 欲望としての理性 / 〈絶対的合理主義〉の逆説

第4章〈組織化〉「集団的協同の理論」
スピノザの実体概念とヘーゲルの誤解 / 様態の存在論的前提/「活動力」概念の重要性/自然権と集団的協同

第5章〈強度〉「〈成熟〉の主題」
スピノザと〈子どもになる〉こと / 「無力な隷属者」としての子ども / 理性は意志ではない、あるいは十全な観念/共通概念と「ヴィヴィッド」なもの / 喜びと悲しみ、そして理性 / 力を持続させること、あるいは内在する理性 / スピノザと〈大人になる〉こと

第6章〈環境〉「〈自然〉の脱構築」
ディープ・エコロジー派のスピノザ解釈 / 脱構築された〈自然〉概念と『エチカ』 / スピノザの自然概念と〈人間の終焉〉論

第7章〈民主主義〉「国家論の異例性」
国家と理念の分離 / スピノザの政治論における権力と国家の発生 / 政治と倫理の分離の帰結

第8章〈抵抗〉「『〈帝国〉』の行方」
〈帝国〉の定義と〈群衆―多数性〉 / 『〈帝国〉』におけるスピノザ / 〈帝国〉とスピノザ / 〈帝国〉の彼方

第9章〈マルチチュード〉「〈群衆―多数性〉の危機と倫理性」
ネグリの立場 / ハートの立場 / スピノザにおけるピエタスと愛 / 問いを開いたままで


後記
文献一覧

【著者紹介】

浅野 俊哉[あさの・としや]ASANO Toshiya
1962年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。筑波大学大学院哲学・思想研究科博士課程単位取得満期退学。現在、関東学院大学法学部教員。哲学・社会思想史。本書に収録した論文の他に、「理性と情動──スピノザ哲学における合理主義の一側面」「スピノザ主義の経験主義的解釈──ドゥルーズ『スピノザ 実践の哲学』をめぐって」など。翻訳に、マイケル・ハート『ドゥルーズの哲学』(法政大学出版局、共訳)など。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆれる

1
「成熟するということは適応ではなく、他者との間でまさしく十全な観念を形作りながら、そこに成立する能動的な力を表現していくことであり、それを実現する社会的仕組みを形作っていこうとする欲望に、具体的かつ建設的な仕方で形を与えていくことである。」 2014/12/27

左手爆弾

0
スピノザ倫理学・政治学の本質を喜びにあると見て、それを実現するためにどうればいいのかを考えた本。主にドゥルーズやネグリ、ハートの解釈を用いてスピノザの政治論を読み解いている。1つ1つの論考自体は興味深いが、全体としてのまとまりはあまりない。後半はネグリ=ハートの分析になっているが、マトゥロンやバリバールなどの解釈も用いて欲しかった。スピノザの思想を現代思想として扱おうとする試みの1つであろう。2012/04/18

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