内容説明
都市に住む人々の意識下には、いつまでも海と砂漠がわだかまっている。街を見ることば、街を想うまなざし。詩と写真でつづる「東京」の半世紀。
目次
第1章 十円玉
第2章 爆弾
第3章 遊覧飛行
第4章 彼の東京
第5章 小さな密室
第6章 離婚届
第7章 ふたつの東京
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もちまる
25
図書館本。詩集はたくさん読んだけれど、やっぱり谷川俊太郎さんが好きです!「目に見えない詩」、心のなかにあるものを大切にしなきゃ。2019/06/23
八百
22
東京では空はしっかり目をつぶってないと見えない… 東京では夢はしっかり目を開けてないと見えない……谷川先生が半世紀に渡って詠み続けた東京の街を自ら切り取った風景の写真とともに編纂されたアンソロジー。憧れをトランクに詰めて夜汽車で目指す街でもなく花の都でもないただただ誰にでもある故郷としての東京がシャープなコントラストの「ことば」でページに焼き付けられる様は圧巻で最早感想云々を語るのが愚に思えてくる程の存在感。文壇の巨人が街を見ることば、街を想うまなざしを存分に堪能し給へ2015/05/13
Maiラピ
20
谷川さんの故郷である東京についての書き下ろしを含む詩と谷川さんの撮った1950年から1960年代の写真60枚。ノスタルジー詩集。“凍りついた時間を感傷が解凍する 鮮度は見る者の心に任される 歴史を一瞬黙殺するが 事実を問わぬ詩がそれを行き返らせる 声も楽の音もない沈黙のうちに あらゆる騒音と静寂がひそんでいる 色を失った光景から たどたどしい意味が生まれる 忘却と記憶とどちらが美味だろう”・・・う~~ん、一部が忘却された記憶が美味かもね。2011/11/17
あき
6
★★★★☆ 東京の街と人についての詩集。表紙も中の写真もモノクロで、詩も落ち着いた雰囲気。雨の日や夜に、紅茶を飲みながらページをめくりたい。「手に負えない夕方」「灯が夜をみつめていると夜の呟きがあからさまになる」「ずいぶん長い間ヒトをやってきた このへんで只の哺乳類に戻れぬものか」など、はっとするような印象的なフレーズがたくさん。なにより、「東京バラード、それから」という本のタイトルがとても好き。2017/05/14
ジョナ
6
谷川さん自身の説明によると18歳の頃から、60数年書き続けてきた詩のほとんどはmade in Tokyoの見えない刻印が刻まれているそうです。2011年に刊行された、この詩集は、50〜60年代に谷川さんが撮った写真と、書かれてきた詩群、そして書き下ろしで構成されています。「詩も写真も、物語と違って時間に沿って進むのではなく、むしろ時間を一瞬止めることで時間を越えようとするものなのかもしれません」。明日は、憧れの谷川さんに会いに行きます。どんな話、どんな発見が飛び出すのか、今から楽しみでなりません。2015/02/28