内容説明
「人は読んだら、思う。少しでも何かを思いながら生きてきた。」ことばを見る、ことがらを読む。荒川洋治の最新エッセイ集。
目次
数えてみれば
ひまわりと太陽
駅から歩く
読むので思う
文学談義
読者の声
無理
日記のようになれたら
静かな作品
サウナのことば〔ほか〕
著者等紹介
荒川洋治[アラカワヨウジ]
1949年福井県生まれ。現代詩作家。1972年早稲田大学第一文学部卒業。詩集『水駅』(1975、書紀書林・第二六回H氏賞)『渡世』(1997、筑摩書房・第二八回高見順賞)『空中の茱萸』(1999、思潮社・第五一回読売文学賞)『心理』(2005、みすず書房・第一三回萩原朔太郎賞)、評論・エッセイ集『忘れられる過去』(2003、みすず書房・第二〇回講談社エッセイ賞)『文芸時評という感想』(2005、四月社・第五回小林秀雄賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かりあ
17
2回目の再読。この人の文はすごく真っ直ぐでいて、選ぶ言葉ひとつひとつが温かい。そして、やはりことばを扱う人だからか、本当にことばが大好きなのだ。しかしなによりも見習いたいのは、物語の引き出しが多い。たとえば「ボールペン」ひとつとっても、「誰々の『ボールペン』って短篇があるけど云々」、とか、「『行きつけの店』って言ったらそういえば誰々が書いた「何々」の中の行きつけの店はすごく好きだ」とか、とにかくいろんなところから物語を引き出してくる。そんな引き出し、どこに売ってるんですか。荒川さん。2010/02/03
かりあ
14
なんだか複雑に思いが絡み合って、言葉にするのに苦労する。読んでいて感じたり考えたりさせられることがものすごく多かった。この本は、あえて単行本で買ってよかったと思う。文学と読書と言葉について書かれたエッセイではあるけれど、そこから生き方が見えてくる。そういったことについて、振り返り考え直したいとき、私はその度にこの本をひもとくだろう。2009/06/22
チェアー
9
読んだ本の内容はすぐに忘れるので「文学談義」は無理と思ってきたけれど、筆者はぼんやりした途切れる会話でいいのだと言う。好きに読んで何かが心に残ればいいんだと励まされたような気になる。読んで思って終わり。役に立たない読書こそ、読書だなあと思う。2020/04/29
つれづれ
8
読んで思った人のことばを読んでまたわたしは思う。そして書く。わたしのところで細く拙いものになってしまうとしても、そうして繋がって"思い合って"いくことは、とても楽しいし、生きていて良かったなあと思う瞬間。それにしても、荒川洋治の本は、振り返りたいことばが多くて、付箋だらけになってしまう。2009/12/16
らびぞう
7
66編のエッセイ集。いろんな本の紹介もあり、手に取って読んでみたくなる本もあった。「日記のようになれたら」物事が繋がらなくても、それがわからないのが日記であり、実際にあったことに従うものではないと書かれていて、納得。「読むことば」今まで、関心事をかんしんごとと認識していた。正解は、かんしんじ。幾つになっても、初知りなこと、間違えて認識していること、本当に多い。2014/08/14