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百年の愚行

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  • サイズ A5判/ページ数 239p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784901818001
  • NDC分類 209.7
  • Cコード C0072

出版社内容情報

Think the Earthプロジェクトは、「ビジネスを通して、社会に貢献する仕組み」の実現と地球をテーマにした「新しい発想のモノ作り」を推進するNon Profit Project-非営利プロジェクト
-です。世界中の様々な企業やクリエーターとともに、新しい発想をもった商品やサービスの開発を行い、その売り上げの一部を使って、インターネットを通じて世界中の人たちと地球の未来について考えていく場を創り出したいと思います。また、地球社会のために効果的な活動を行っている組織や個人に支援を行います。

Think the Earth プロジェクト発起人< 参加順 >
水野誠一 (株) IMA 代表取締役
服部純一 セイコーインスツルメンツ(株)代表取締役会長
青木利晴 (株) NTTデータ 代表取締役社長
古川 享  Microsoft Corporation Vice President
坂本龍一 ミュージシャン/アーティスト
ルチアーノ・ベネトン ベネトングループ会長

【メッセージ】
~「百年の愚行 ONE HUNDRED YEAR OF IDIOCY」刊行によせて

<50音順>

■赤池学 Akaike Manabu ユニバーサルデザイン総合研究所所長
百年の愚行は、"千年の持続性開発"で贖罪せよ
百年の愚行の紛れもない共犯者である私たちは、猛省と共にこの百枚の写真を見つめ直さねばならない。そして、その画素では写し出されてはいない、愚行の本質を思索すべきである。
群れなす病んだ家畜や打ち捨てられた作物が、それを肥育するために費やされた膨大な水資源そのものであることを。
皆伐され放置された山が、日本人のあなたが住むマイホームそのものであることを。そして、持続可能な雇用と収益の多くを、現地の人々から私たちが奪ってきた事実を。
量と質の両面で枯渇している水を、遺伝子のレベルで犯されているさまざまな命を、いかに千年先の未来へと継承していくのか。そのミッションと具体策を、この愚行の贖罪として探らなければならない。
再生可能な動植物力を利活用すれば、千年の持続性開発は決して夢物語ではない。そのために今、課されているのは、人間力に対するリアルな思索と覚醒なのである。

■飯沢耕太郎 Iizawa Kotaro 写真評論家
20世紀の写真のアンソロジーを見て、いつも感じること。なぜ写真というメディアは、あるいは写真家という人種は、不幸や悲惨に鋭敏に反応してしまうのか。答はむろんいろいろあるだろうが、「地獄のイメージは多様で豊かだが、天国のイメージは単一で貧しい」という語句が、つい頭に浮かぶ。時に、映像が不幸を増殖させ、悲惨を拡張するということもいえるかもしれない。では、幸福なイメージだけに酔いしれていればそれでいいのかといえば、それもまた単純すぎるだろう。むしろこの『百年の愚行』は、そのようなうっとうしいジレンマを断ち切る悪魔払いになりうるのではないだろうか。

■枝廣淳子 Edahiro Junko 環境ジャーナリスト・会議通訳者
私たちは、時間とともに進化し、進歩し、成長するものだと思っていた。人類が成長するものだとしても、その過程はきっと行きつ戻りつしながらの進歩であって、この100年は「戻りつ」=退歩の世紀だったのかもしれない。この100年のような愚行をバネに次の段階に進むためには、何千年もの進化の歴史が必要なのかもしれない。それでも次はぜひ「100年の希望」という写真集を見たい!

■桑原茂一 Kuwahara Moichi 選曲家
ここは正直に謝ろうと思います。地球さん、ごめんなさい。心からお詫びします。このかけがえのない地球さんに生を受け、既に50有余年。私は自分の欲望と葛藤し敗退し、商品社会が生み出した自己中心主義的な生活を謳歌することを正当化して生きてしまいました。謝罪します。そのことであなたをこんな姿にしてしまって(絶句)…本当に申し訳ありません。土下座します。泣きを入れます。本来なら指を詰め、オトシマエをつけるところですが、やくざになることも出来ない小心者故、小指を落とすと、あのちょっとやさぐれた感じの”カノジョ”を指すサインも出来なくなるし、以外と気持のいい耳の穴をほじる刹那的な行為もできなくなるのはちょっぴり寂しいのでやっぱりやめます。もちろん腹を切ることも考えにない訳でありませんが、武士の末裔の方々のように、官僚になって切り捨て御免の高慢ちきで威圧的で権柄尽くな唯我独尊な生活を満喫してきた訳でもないのでやっぱり御免です。”無知ほど完全な幸福はない。”永井荷風「新帰朝者日記」(明治四十二年)なんていう時代もありましたが、もうあきまへん。これからはできるだけ地球さんを困らせないように私の欲望を戒めていく所存でございます。地球さん、どうか死ぬまでここに住わせて下さい。

■駒沢敏器 Komazawa Toshiki 作家・翻訳家
「百年の愚行」は、そのまま「百年の快感」と言い換えてもよいのではないか。加速する自分の欲望を、支配はおろか制御することすらできず、その陰で犠牲になってきた者や環境を「見ないふりをする」ことによって、人間は自らの快感を維持してきた。維持可能(サステイナブル)な快感。犠牲になるのはそれらだけではない。我々は自らの子孫までをも犠牲にして、日々変わる新しい快感を今もなお熱心に消費しようとしている。
他者に働いた暴力は、それと同等の量の暴力を自身にも蓄積させ、やがて内面を蝕む。そのことを胸に、かくも華やかな愚行をご覧いただきたい。

■坂本龍一 Sakamoto Ryuichi 
ミュージシャン/アーティスト・Think the Earth プロジェクト発起人
過去を知ることは現在を知ることであり未来を知ることである。また未来はただやって来るものではなく、この一瞬一瞬われわれが作るものである。われわれ人間は、ホモ・エレクトゥスなどからうけついだ巨大な脳を使いこなし、過去の過ちを正しそれをくりかえさずに、より良い地球を将来世代に手渡す義務がある。20世紀に人類は科学技術を謳歌したが、同時に大量殺戮、大量廃棄、大量伐採など、自然にも人間自身にも大きなツケをもたらした。さて、これらの問題群を人類はいかに解決していくか。われわれは現在その分水嶺にいる。

■佐野元春 Sano Motoharu ミュージシャン
古い世界が回り続ける。「百年の愚行」として切り取られたひとつひとつの「窓」から、静かに回り続けた20世紀の地球を見つめる。償いの季節がすでに訪れていて、後戻りはできない。ときどき何も聞こえないふりをしてしまうことが罪だった。「痛みさえも感じない」とは、ただの気取りにすぎなかった。刻々と刻まれゆく時を横目に、僕は、新しい地球が回るのを見なければいけない。

■武田徹 Takeda Toru ジャーナリスト・評論家
生物には生存本能がある。人類が生みだした文明も、飢えずに、より長く、より楽に生きることを望んだがゆえの構築物だったという意味で、生存本能の発露だったはずだ。
しかし、今やその文明が、人類を、そして人類以外の生物をも破滅に追いやろうとしている。本書は、人類がどこかで根本的に間違えていたこと、生命の秩序を裏切ってすらいたという証拠を、私たちの喉元に突き付けるナイフだ。その間違いぶりのとんでもなさをリアルに認識することからしか、21世紀を人類は生き抜くことが出来ないだろう。

■ミッシェル・テマン Michel Temman 
ジャーナリスト・国境なきジャーナリスト日本代表
BEAUTY AGAINST IDIOCY
"One hundred years of idiocy" is an amazing, ambitious, beautiful editorial and photographic project. Personally, When Tetsuya Ozaki introduced it to me, one evening in a cafe in Tokyo, I was totally impressed. It's ambitious because in our busy times today, we don't find the necessary time to remember where we are coming from, how our 20th century did create so much progress and movement, sent us on the moon, and at the same time killed so many innocent victims worldwide, on all continents. By millions, dozens of millions of humans, idiocy killed. And destroyed life in a constant process, human, but also animal and vegetal. Today, the reason is coming back from Tokyo, in this great "One Hundred Years of Idiocy" created and planned by Tetsuta and the Think the Earth Project's team and network. In a moment where wars are still raging and technological progress still going on at the same time, we have to make a pause. A break. And think. Think the earth. The beauty against idiocy.
美と愚行の対比
「百年の愚行」は、驚きと野心と美しさに満ちた写真編集プロジェクトだ。私は、ある晩東京のカフェで小崎哲哉氏からこの企画を打ち明けられたとき、深く感銘を受けた。
なんと野心的な試みだろう。この慌ただしい現代に、われわれは自分たちの来し方に思いを馳せ、20世紀が途方もない進歩と発展を生み出し、人類を月にまで到達させながらも、同時に世界中のあらゆる大陸でおびただしい数の罪もない者たちを殺戮してきた時代だったことを思い起こすだけの時間を持つことができない。しかし、何百万、何千万という人々が、愚行によって殺されてきたのだ。しかも、たえず奪われてきた生命は、人間のみならず動物や植物にも及ぶ。
今、東京からその理性が取り戻されようとしている。小崎氏とThink the Earthプロジェクトのチームが企画・制作した、この素晴らしい『百年の愚行』として。
いまなお激しい戦争が繰り広げられていながら、技術の進歩も続いているこの瞬間に、われわれは立ち止まってみる必要がある。立ち止まって、考えるのだ。地球のことを。
そして美と愚行の対比を。

■中嶋朋子 Nakajima Tomoko 女優
百年の愚行は百年ではおさまらない。
もうすでにそういうタイムスケジュールを私達は生きてしまっている。
たえがたいほどの私達の足跡は確かに“私達の”ものであり、
自分の国の、自分の町の、自分のイスの、その上にだけ
生きているワケではない。
そこにのみしがみついているという事に、私達はあまりにも気づかなすぎた。
悪夢であったり、邪心であったと今、人は言うであろう全ての事も、
どこかで見間違えた夢や希望だったに違いない。
人は喜びたいのだ、満ち足りていたいし、生き物として強くありたいのだ。
だからこそ今、本当に喜び、満ち足りるため、生き物として生きていくために、
ものを推し計る単位を変えなければ。
私達の位置を確かに感じなければ。
遅すぎるといってあきらめるには早すぎる。

 私達に何の不足があるのか-
  私達は何を追い求めているのか-
   私達は今どこにいるのか-
    私達はそしてどこへ向かうのか-
       考え、語り、歩を進めよう。

これはチャンスです。 
この本は私に生きるためのチャンスを与えてくれた。

■レスター・ブラウン Lester R. Brown アースポリシー研究所・所長
In this remarkable collection of photographs, the camera becomes a mirror,
helping us to see ourselves. The view in the mirror is not a pleasant one.
It leaves us wondering whether we can survive another century of idiocy.
この驚くべき写真集において、カメラは鏡となって私たち自身の姿を見せてくれている。
鏡に映し出される光景は心弾むものではない。私たちが次なる愚行の世紀を生き延びることができるのかどうか、深く考えさせてくれる映像だ。

■水野誠一 Mizuno Seiichi (株)IMA 代表取締役・Think the Earth プロジェクト発起人
人類の歴史は様々な愚行の歴史ともいえる。文明進化の陰に隠れている紛争や戦争、人種差別もその一例だろう。
だが20世紀に人類が享受した目覚ましい進歩は、地球の資源をわずか百年間に蕩尽し、環境を破壊したという意味で、今までのそれとは大きく異なる。深刻な環境問題が予想される今、人類の過去百年間の行為を「光と影」両面から見返してみることは大いに意味深い。ここに写されている事実に決して目を背けることなく子孫に残すべき地球について考えてみたい。今こそが、「THINK THE EARTH」のときなのだから。

■港千尋 Minato Chihiro 写真家・評論家
本書に収められた写真は、どれも生と死の境界線上で撮影されている。認めないわけにはいかないだろう、これはわたしたち人間の自画像なのだ。見たくはない鏡かもしれない。だが明日の道を知るためには、しばし立ち止まり、「あまりにうぬぼれてしまった」(キアロスタミ)人間の来し方を見つめなければならない。与えられた地球は一個、生も一回限り。そこで何をなすべきか。問いは重いが、エディトリアルもデザインも軽快だ。勇気をもちなさい、まずは注視することが、抵抗の第一歩なのだと心に刻む。これこそが今日を生きる人間に必要な、「歴史の教科書」ではないか。



内容説明

本書では総計約100点の写真を選び、1冊の写真集を編んでみた。それぞれの写真は、人類が地球環境と自分自身に対して及ぼした数々の愚行の「象徴」であり、と同時にひとつひとつがれっきとした「現実」でもある。また、写真に加え、池沢夏樹、アッバス・キアロスタミ、フリーマン・ダイソン、鄭義、クロード・レヴィ=ストロースの5氏に、前世紀を振り返り、新しい世紀を見据えたエッセイの寄稿をお願いした。

目次

海・川・湖沼
大気
森・大地
動物
大量生産・大量消費
核・テクノロジー
戦争
差別・迫害
難民
貧困

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

空猫

41
20世紀。その百年間の、水、大気、大地、動物、大量生産、廃棄、核、戦争、差別、難民、貧困、がテーマの写真と文。初頭には16 億だった世界総人口は今や70億。人間が、文明が支配するこの地球には、見放された人々の、搾取され続けた自然や動物の、悲鳴が止まらない。そんな写真集。戦争は難民を生み、彼らの多くは貧困と病苦に陥る。自然や動物だけでなく同じ人間にも手をかける…。手垢が付きまくりの言葉だが「げに恐ろしきは人間」・゜゜(ノД`) 2023/03/13

yumiko

40
筆舌に尽くし難いとはこういうことだろうと思う。 一枚一枚の写真が、千の言葉、万の言葉より雄弁に語りかけてくる。 人類が犯した数々の愚行、その一瞬の光景を切り取った約百枚の写真。 目を覆いたくなるほどの場面が、頭の中にへばりついて離れない。 私たちの欲深さは、一体どこまでこの地球の姿を変えてしまえば気が済むのだろう。 「人間はあまりにもうぬぼれてしまった」アッバス・キアロスタミのこの言葉が、心の底に深く沈み込む。2015/05/07

たまきら

38
書庫整理中に。21世紀にはいりもっと世界は切羽詰まっていて、より速度を増していて、まるで止まってしまったら倒れてしまうと言わんばかりだ。それでも静かな書籍の力を信じてる。本はそこで開かれるのを待っている。そしてブレーキの代わりになってくれる。2022/01/28

まるほ

36
ガツンとくる衝撃本。20世紀に人類が犯した“愚行”を100枚の写真で描く。テーマは、環境汚染、戦争、弾圧、差別、暴力、貧困、核。▼1枚1枚の写真のインパクトが尋常ではない。これが100枚続く。サーっと読み飛ばせるような本ではない。一つ見るたびに考えされられる。“映像”が読み手に訴えるものは、文章よりも鋭く強く直接的だ。▼一人でも多くの人が手に取って読んで欲しいと思う。これもまた現実の一側面なのだから…。2019/06/23

キキハル

33
圧倒的な写真集だ。心あたたまる写真は一枚もない。ストロース氏によると、ヒトという種が増えすぎたことが様々な悲劇の一因だという。環境破壊や戦争被害、利便性という名のエゴによる結果がここには詰まっている。目をそむけたくなるもの、開いたページを素早くめくりたくなる写真こそ、じっくり見つめなければならないのだろう。だができない。見ていられない。苦しいのだ。胸底が騒いで苦しいのだ。一瞬を切り取る写真は、しかし、どれほどの脅威を突き付けてくるのだろう。ヒトは愚行を止めることができるのか。百年後の写真集が怖ろしい。2015/02/11

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