内容説明
四冊の小説集と一冊の翻訳本をのこして逝った作家の批評的エッセイを集成。虫・音楽・競馬・F1・バロウズ―読み解くこと/わかることの回路を侵犯するノイズ!ノイズ!ノイズ。
目次
昆虫の記憶による網膜貯蔵シェルター、及びアンテナ
ゴースト/キツネザル
バッドトリップ、ディスコミュニケーション、カットアップ
いまや本を開くのは「読む」ためではなく、必要な断片をサンプリングするためだけだ
キャサリン、サリー、あるいは名のない女の…。
ブコウスキー 臆病者の実験小説
歌舞伎町B級SMショー
奥泉光『その言葉を』
中原昌也『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』
「絶対的窮乏化」時代の散文〔ほか〕
著者等紹介
清水アリカ[シミズアリカ]
1963年2月神戸生まれ。2010年9月、転移性肺がんのため死去。1990年、『革命のためのサウンドトラック』で「すばる文学賞」受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
70
SM喫茶の妄想?から始まりバロウズ、ギンズバーグ、ブコウスキーの話があったり、奧泉光の本の紹介にジャズのオーネット・コールマンを絡ませたり、椹木野衣との70年代からのロックシーン(ロキシーミュージック、ジミヘン、キング・クリムゾン、パンク系などと楽器テルミンなど)をきっかけに始まる対談もあり、結構な振れ幅がありながらも気になる話がある。2021/09/14
兎乃
29
本書の魅力は目次を記するだけで伝わると思う。再読の坩堝とアリカのノイズが侵入 その至福。I昆虫の記憶による網膜貯蔵シェルター、及びアンテナIIゴースト/キツネザルバッドトリップ、ディスコミュニケーション、カットアップいまや本を開くのは「読む」ためではなく、必要な断片をサンプリングするためだけだキャサリン、サリー、あるいは名のない女の⋯⋯。ブコウスキー 臆病者の実験小説歌舞伎町B級SMショー 奥泉光『その言葉を』 中原昌也『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』2015/10/26
多聞
11
「物語」は形骸化し、あらゆる表現がサンプリングから抜け出すことが困難となり、かつては巧妙に隠されていた虚像が可視化されて白日のもとに晒される現代において、本書を読むと改めて意味が無効となっている事実を再認識せざるをえない。無意味であることを自覚しながらもロマンを最期まで追求しようとした清水アリカのノイズは美しい。それを「読む」のではなく、体感する。まさに至福の一時だった。2013/04/11
4
やっぱり90年代的だと思う。そういう意味では清水アリカは時代の徒花としてそれゆえに幸福な作家ではなかったか。つまり、廃墟=ジャンクに不可能性の可能性を見つけようとする立場だが(そして、それは大澤真幸のいうところの「虚構の時代」であればこそ可能であった)廃墟=ジャンクを絶えず組み替える(カットアップ)ことで逃走線を描き出すことが可能であった(と考えられた)そんな時代。しかし、それの極限として「核廃棄物」にぶち当たった我々のもとに不穏に回帰してくる「現実」から見るとどうしようもなく遠くに来たような感じがするが2017/04/09
かみのけモツレク
0
読み進めていくと共感できるところが出てくる2017/06/12
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