しかし…―ある福祉高級官僚 死への軌跡

しかし…―ある福祉高級官僚 死への軌跡

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  • サイズ B6判/ページ数 250p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784900423664
  • NDC分類 916
  • Cコード C3036

内容説明

1990年12月5日、環境庁次期事務次官候補が自ら命を絶った。彼は水俣病訴訟の国側の責任者として批判の矢面に立たされていた。厚生省入省以来30年、福祉・環境行政一筋に歩んで来た高級官僚が「福祉切り捨て」の時代に押しつぶされていく―。ギャラクシー賞作品、渾身のドキュメント。

目次

序章 遺書
1章 記憶
2章 救済
3章 電話
4章 後姿
5章 代償
6章 誤算
7章 食卓
8章 不在
9章 帰宅
10章 結論
11章 忘却
終章 再会

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ばんだねいっぺい

13
最後の章に写真が出てきた時に、ハッとした。単純にかなしくなるはなし。2016/07/07

みずみず

2
この事件に衝撃を受け、この本が出版された時に手に入れて読んだ。この「事件」の時自死した山内氏の出身地、福岡市内のある書店では、山内氏のコーナーが特設された。地元でエリートとされる学歴のせいか、地元政治家もコメントしたらしい遺稿集が山積みされ、是枝氏の本は残り一冊であった。迷った挙句に是枝氏の本だけレジへ。当時はTV番組のドキュメンタリーを手がけていた是枝氏の本。

まさやん80

1
環境庁長官が水俣を視察するその日に、山内豊徳企画調整局長が自殺した。彼はなぜ自殺を選んだのか、彼の妻にインタビューし、彼のこれまでの辿ってきた道のりを調べたノンフィクション。 弱者に寄り添い、正義を行おうと「しかし・・・」と言い続けた高級官僚は、しかしその理想の高さ故に、死を選んでしまった。「しかし・・・」を「だけど・・・」に言い換えて多くの人はバランスを取っているが、彼にはそんなことは出来なかったのだ。 是枝さんの洞察力や取材力が生かされているし、構成力も素晴らしい。2020/08/04

コモヒ

1
官僚なんてカスしか居ないと思ってたけど(永沢さんも言ってたし)、こんなにも真面目で優しくて情熱的な方がいらしたのですね。そしてそれ故にと言うか・・自死されてしまったのですね。上からは能力が低いと評価されてたとか言う件はマジで泣いた。そうやねん。こういう人ってホンマ評価されへんのよね。まったく信じられへん事やけど!つうかほとんどブラック企業よな。もっと楽して(そして国民を馬鹿にし切って)稼いでるのかと思ってたけど(そう言う人もいるだろうけど)!テレビの方が先だったのですね。でも単純にテキスト化とかじゃなく。2015/06/19

佳瓜

1
『雲は答えなかった』刊行を知って読みたいと思い、図書館でこの『しかし…』を見つけた。是枝さんを映画監督として好きな私だが、これまで著作を読む機会を持たずにきた。こういう仕事の先に映画作品があるのだと素直に納得できる本だ。作中に出てくる「人間に対する関心」を、著者にこそ強く感じた。静かで深い、そして慈しみに満ちたまなざしだと思う。2014/05/09

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