内容説明
「王道楽土」とまで呼ばれた、今はなき満洲帝国―。なぜ日本人は満洲にむかったのか?それは、日本と満洲の関係だけでなく、清朝中国、モンゴル、朝鮮、ロシアそれぞれの思惑と利害を眺めてこそ見えてくる。「歴史に道徳的価値判断を介入させてはいけない。歴史は法廷ではないのである」と語る著者による、歴史学的な位置づけの「満洲」入門書。
目次
第1章 満洲とは何か―もともと種族名だった満洲。地名になったのは日本がはじまり
第2章 満洲の地理と古代―中国文明とは「漢字」と「都市」と「皇帝」
第3章 東アジアの民族興亡史―日本人と朝鮮人は、中国から同時に独立した“双子の関係”
第4章 元朝から清朝へ―モンゴル人の元朝、満洲人の清朝による中国の支配
第5章 ロシアの南進と日露関係―ロシアが奪うアムール北岸と沿海州
第6章 日本の大陸進出 日清・日露戦争―近代化できない清国・朝鮮にロシアの触手が…
第7章 日露戦争後の満洲と当時の国際情勢―欧米列強が承認、南満洲と韓国という日本の勢力圏
第8章 満洲帝国の成立―ソ連の謀略と中国の排日運動、満蒙権益を守るための満洲建国
第9章 日本史のなかの満洲―官・民あげて満洲投資、最大二百二十万人の日本人が満洲に
第10章 日本敗戦後の満洲―満洲帝国の“遺産”が現代中国をつくった
著者等紹介
宮脇淳子[ミヤワキジュンコ]
1952年、和歌山県生まれ。京都大学文学部卒業、大阪大学大学院博士課程修了。学術博士。大学での専攻は東洋史であるが、従来の東洋史の枠組みを越えて、中央ユーラシアの視点にたった遊牧民の歴史と、草原と農耕地帯を総合的に見る中国史を研究している。現在、東京外国語大学・国士舘大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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