出版社内容情報
1900年のパリの万博と21世紀の福島はつながっている.
キュリー夫人が発見した放射性の物質の歴史を光少年と猫のエルヴィンが案内してくれる.
希望と不安.半減期.
それは生きものの体に刻まれた時間だ.
タイム・リミット. まだ間に合う? まだ?
―― 萩尾望都(帯コメントより)
小林エリカ渾身の新作コミック、テーマは“放射能”
―― それはいつ、どこから、どうやって、ここに来たのか?
いまから115年前、科学者マリ・キュリーによって名づけられた“放射能”。
マリが「わが子」と呼んだ、幻想的な青白い光を放つ新元素ラジウムは、本当に人類の希望だったのか?
マンハッタン・プロジェクト、広島・長崎、スリーマイル、チェルノブイリ、そして…。
2011年の日本に生まれた主人公“光”と、猫の“エルヴィン”を通じて、“放射能”の歴史がひもとかれていく。
史実とフィクションを交えた物語。
センシティブかつ強烈な意欲作。
〈巻末には放射能をとりまく歴史が一目でわかる年表と地図、ブックリストも収録〉
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
22
目に見えないものを描くとき、そこには想像力を要する。そしてその想像力は、喜びや哀しみといった感情がもたらせるものだ。放射能をテーマにする『光の子ども』は、目に見えない放射線を、感情を出発点とする想像力を駆使し、描く。2011年に生まれた少年を主人公にしていることでも明らかなように、小林エリカの感情のひとつは、東日本大震災での原発事故で生まれたものだ。黒澤明は映画『夢』の1エピソード「赤富士」において、降り注ぐ放射性物質を赤く染めた。小林エリカは、それを光として描写する。(つづく)2020/10/10
ツキノ
7
X線、放射線、マリー・キューリーの研究、命名した放射能、ショパンの「革命のエチュード」、ロイ・フラーというダンサー、ラジウムの発見、ボヘミア地方ザンクト・ヨアヒムスタールで発見された銀、ウランの発見、1900年のパリ万国博覧会などなど…歴史上の事実と「光」という男の子、「真理」という妹の現在が交差する。いったいこの先どうなるのか…?巻末には年表とブックリストがあり。マリー・キューリーの娘、エーヴによる伝記、これを機に読まないと。2014/01/19
okame
2
図書館本。西加奈子さんの『まにまに』より。テーマは放射能について。現代の日本に住む光、猫のエルヴィンと1900年代に生きるマリ・キュリー。時代背景を説明しつつ、放射能の歴史を紐解いていく。続けて2巻へ。2019/03/23
etcetra
2
コミックという形式を使って縦横無尽に歴史をキュレーションするような感じにはまりました!2014/03/11
シュウヘイ
1
今の自分の理解力では難しかった2022/06/07