内容説明
召使いは見た!もう一つのイギリス近代。この国が大英帝国としてもっとも栄えたイギリス・ヴィクトリア時代。上は王室、貴族から、下は中産階級の家に至るまで、実に多くの、そしてさまざまの家事を分担しておこなう召使いがいた。その数は一三三万人あまりと、男女合わせた総労働人口の中で、最も大きな割合を占めていた。なぜこれほど多くの召使いがイギリスにいたのか?薄給、重労働、低劣な住環境、横暴な主人に貞操の危機…。彼らは苦難に耐えつつも日々を謳歌し、イギリス近代の発展を底辺で支えた。職業から見た、知られざる近代イギリスのもう一つの世界。
目次
第1章 広大な使用人の世界―執事から従僕まで
第2章 女使用人たちの仕事
第3章 使用人部屋の世界を覗いてみれば
第4章 主人もさまざま、使用人もさまざま
第5章 貞操の危機―主人と使用人の緊張した関係
第6章 使用人と新天地
第7章 貴族の没落と召使いの変化
第8章 現代使用人事情
著者等紹介
小林章夫[コバヤシアキオ]
1949年東京生まれ。上智大学大学院文学研究科修了。上智大学文学部英文学科教授。専攻は英文学、英文化
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感想・レビュー
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はやしま
18
TVドラマ「ダウントンアビー」を楽しみにしている。貴族階級出身の脚本家は周辺で見聞きしたことを元に書いているらしいが、この本に描かれている使用人の暮らしやスキャンダルとドラマのエピソードがほぼ重なる。描かれていないのは召使いたちのビールのことくらい。スチュアート朝の起源とホテル・クラリッジズの成り立ちに驚き。お屋敷は会社組織のよう。上司(主人)たちが上手く使えば部下(使用人)も育つ。また使用人が主人を主人らしく扱い主人(貴族・領主)たらしめているという指摘にも頷ける。文章はやや繰り返しが多い。2017/02/04
ごへいもち
16
読友さんご紹介本。いろいろなるほど。2017/11/19
こぽぞう☆
14
図書館本。「ダウントンアビー」は観たい観たいと思いつつ見損ねているのだけれど、英国文学好きには最適の教養本。執事とナニーは今もかなり存在しているらしい。なるほど。2017/09/05
お萩
5
イギリスの執事、メイドというとキャラクター化されてしまっていて、すでに遠い昔の方たち或いは二次元...と思ってしまうのだがいやいや二十世紀に入ってもいるんですよという事実に驚いた。給料や労働時間をみているとなんだかぐっと彼らが近くなる。(黒人召使の売買までしてたコーヒーハウス、手広すぎないか...)2016/10/15
viola
3
一気読み!面白い面白い。イギリスにあまり詳しくない方にでも読みやすいような書き方には好感が持てます。それにしても、あのスウィフトのブラックユーモアには閉口・・・。読む価値あります。2010/01/12