内容説明
「優しさ」「善意」の名のもとに街に溢れる挨拶やら注意やら警告やらの機械音やテープ音。垂れ流されつづける音の洪水を「うるさい」と訴える人は、「うるさくない」人の前に、なぜいつも敗退せざるをえないのか?言葉の氾濫によって言葉が空転している異常な社会に、気鋭の哲学者があえて戦いを挑み、そこに潜んでいる日本文化の「根」を徹底的に論究する。
目次
1 言葉の氾濫と空転
2 機械音地獄
3 轟音を浴びる人々の群れ
4 「優しさ」という名の暴力
5 「察する」美学から「語る」美学へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まろまろ
7
日本の音漬け社会、例えば「閉まるドアにご注意ください」。確かに余計なお世話音だ。この車内放送で、ありがたいと思う人もいないだろうし聞く気まんまんの人もいないだろう。「無駄な騒音を出さないようお願いします」というアナウンスを追加してもらえば乗客もその矛盾に気づき笑えたり考えたりするかもしれない。 私は、通販での注文等の際に、氏名や商品名を言うたびに発せられる「ありがとうございます」に辟易させられる。 断捨離やミニマム生活が広がりつつある昨今、無駄なエネルギーは使わないに限る。2022/03/29
和草(にこぐさ)
5
あまりにも過保護な放送が多いことに気づかされました。「自己責任」できない人が多い世の中なのでしょうか?自分も含めて考えさせられました。2015/12/22
うつぼ
4
毎日必ず聞くテープ音の「お気をつけくださいませ/ありがとうございました」等のお節介な【騒音】に疑問を呈する中島氏。そんな音を出している、あらゆる機関と戦う。最終的に、日本は騒音にあふれる一方で個々人との対話がないとの結論。ーこの国の「善良な市民」は公的な権力の発する「音」にはきわめて寛容であるが、私人が発する「音」にはきわめて不寛容なのだ。ーいじめ被害者をー「我慢強く強くて優しく、絶対に口を割らないタイプ」こそこの国の大人たちが営々とつくりあげてきた模範人格ーとし個人が叫びをあげられない社会を糾弾する。2014/10/05
謙信公
2
確かに、電車の中や喫茶店など、読書をしているときのアナウンスやBGMは何かイライラするものがある。ただ、ここまで抗議をするとなると、著者の方がうるさいのかな?2015/08/04
もりけい
2
電車や街頭のアナウンスについて、耳を傾けてみれば毎回そこまでいわなくてもという気づきは得られるが、著者がまわりばかりを気にして注意散漫すぎるんじゃないかという結論の私。2015/03/08