内容説明
独自の感性を持つ少年が社会の規範から逃走し固有の現実を作り上げて行く物語。
著者等紹介
フェルロシオ,ラファエル・サンチェス[フェルロシオ,ラファエルサンチェス][Ferlosio,Rafael S´anchez]
1927年、父サンチェス・マッサスの勤務地ローマで生まれる。同市で、幼少期とスペイン内戦時代を過ごす。1951年、処女作、「アルファンウイ」出版。1956年、50年代スペイン文学の傑作のひとつである「ハラマ川」でナダル賞、スペイン批評家賞を受賞。エッセイや論説集で1993年、バルセロナ市エッセイ賞、1994年、スペインエッセイ賞。2004年、長年の文筆活動と影響力のある批評活動により、セルヴァンテス賞を受賞
渡辺マキ[ワタナベマキ]
スペイン語通訳、翻訳家。上智大学外国語学部卒業。マドリード・コンプルテンセ大学、マドリード市立言語学校留学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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新地学@児童書病発動中
110
まったく知らなかったのだが、訳者によると著者はスペインの国民的な作家らしい。色彩豊かなファンタジーで、色とイメージの奔流に圧倒される。冒頭の場面で、トカゲから作ったインクで主人公のアルファンウイが誰にも読めない変なアルファベットを書いて、学校から追い出されるところが象徴的。アルファンウイは世間の規範からはみ出して生きることを強いられるのだ。彼の目を通して、描かれる自然や人々は魔法を帯びており、詩の世界としてのスペインを旅することができる。美しく、哀調を帯びた結末は、読者の心にいつまでも残るだろう。2014/10/30
きゅー
15
アルファンウィと名付けられた少年の物語。ストーリーを追うのは集中力が必要。というのも、あまりに突飛な出来事が起きるので気が抜けない。ブリキの風見鶏がトカゲを捕まえ、夕陽を掬い取って瓶に集め、操り人形が人間のように暮らしている。そしてまた、奔流のように溢れ出る色彩のイメージに押し流されそうになる。漆黒の夜でさえ色とりどりの星が瞬いている。次から次へと驚くような出来事が起こるが、それは冒険というよりは、幼い少年が夢に見るようなおとぎ話の世界。揺らめいてやがて静かに消えていく。2017/05/17
魚京童!
14
内容なんてたいしたことなくて、結局すべてスズキコージにもってかれている。そんな本。絵がこれだからすごいけど、絵がこれじゃなかったらどうなんだろうね。結局引っ張ったもん勝ちなんだ。ハリーポッターとかすごいよね。あの絵が強烈だから覚えているけど、内容なんて終わったら楽しかったってだけじゃない。それだけ引っ張ったもん勝ちなんだから私もそういう風になりたいよね。2019/03/02
belle
6
不思議なことがガチャガチャ、ゴチャゴチャと押し寄せる。でも前を向いて歩いて行くアルファンウイ。どこにいても真面目で懸命に生きるアルファンウイ。アルーファンーウイーとイシチドリが鳴き交わす。強烈な出来事の中に悲しみと静けさを感じた。スペインのお話。2019/01/15
しょうゆ
4
難しい本だった。ストーリーがとても荒唐無稽で、展開が全く読めないうえに、文体も短くぶつ切りで読みにくい。チュツオーラの「やし酒飲み」と似た雰囲気がある。読みにくさはあるけれど、色彩感覚や比喩が素晴らしい。色の洪水。自分の熱で卵を孵化させるおばあちゃんのエピソードが好き。2015/08/19