内容説明
かま猫は、持って来た弁当も喰べず、じっと膝に手を置いてうつむいて居りました。とうとうひるすぎの一時から、かま猫はしくしく泣きはじめました。それでもみんなはそんなこと、一向知らないというように面白そうに仕事をしていました。
著者等紹介
植垣歩子[ウエガキアユコ]
1978年、神奈川県生まれ。和光大学芸術学科日本画専攻卒業。『6人の老人と暮す男の子』で、第3回ピンポイント絵本コンペ優秀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Hideto-S@仮想書店 月舟書房
81
2014年10月発行の『猫の事務所』。宮沢賢治氏の短篇を絵本化したものを読んだのは3冊目ですが、絵本から受け取るメッセージって、こんなにも変わるものなのですね。黒井健氏版から感じたのは〈哀しみ〉。意地悪な上司たちまでも柔らかなタッチで描かれた絵は、主人公の〈かま猫〉の内面が浮き彫りにされ、差別が存在する世界の哀しさを感じました。小林敏也氏版から感じたのは〈怒り〉。悲しみに沈むかま猫を冷ややかに眺める上司に憤りを覚えました。植垣歩子さんの絵で読んだ印象は〈かわいそうな猫の話〉。涙をためた猫の表情が切ない。2015/04/29
♪みどりpiyopiyo♪
41
わーん 悲しいきもちになりました。かま猫、次はもっといい所といい仲間が待ってるよ。■猫で描かれてるけど、妬みと差別と虐めの話でした。職場で無視され仕事も取り上げられるかま猫を思うと、とても悲しく辛くなりました。人の世をよく表しています。■子供服のミキハウスが賢治の絵本を沢山出しているのですね。知らなかったー。(そーいえば、先日読んだ『はだかの王さま』も絵も訳も素敵でした)絵の植垣歩子さんは日本画出身。ほわっと力強く、物語の雰囲気ととても合っていて好きです。(文 大正15年 (1926年)、絵 2014年)2016/10/04
爺
36
パワハラの話.絵本だけど中々考えさせられた.2021/11/01
南
21
かま猫の理解者だと思っていた黒猫も、人(猫)の噂に惑わされてしまった。何が正しいのか、良い道なのかを宮沢賢治さんの童話は考えさせてくれる。絵も点を集めて描かれており、手間がかかっている。2018/01/05
さっちゃん
20
猫なんてあてにならないもんです(人間はもっとでしょう)。かま猫をいじめた白猫、虎猫、三毛猫はどこにもいるし、権力のローブを羽織って威張っている黒猫もいる。もちろんかま猫も。それを知ってる私たちは何ができるのか考えてしまった。金の獅子のように解散!と叫ぶのも違うと思うしね(あてにならないのは獅子もか!)。♯(^ΦωΦ^) 猫と読書(2月22日)2017/02/22