ブレンダと呼ばれた少年―ジョンズ・ホプキンス病院で何が起きたのか

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  • サイズ B6判/ページ数 327p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784895859370
  • NDC分類 367.9
  • Cコード C0030

内容説明

1967年、アメリカで包皮切除手術に失敗した8ヶ月の双子の男の子のひとりが、性科学の権威、ジョン・マネーの勧めによって、性転換手術を受け、ブレンダという名前で女の子として育てられた。性転換をすれば、女性の生殖機能を持つことができ、正常な性生活をおくれるとマネーは説得したが、実は、ブレンダは「性別の自己認識は環境的要因によって決まる」というマネーの理論を裏付けるための格好のモルモットとして利用されたにすぎなかった。マネーは、この症例を医学ジャーナルに発表し、自説の正当性を主張し、キンゼーレポート以来の偉大な発見としてセンセーションを呼ぶ。だが、少女となった男の子のこころと身体は、成長するにつれ重大な危機を迎える…。

目次

第1部 SFゲーム(初春の吹雪;性の伝道師;ブレンダへ ほか)
第2部 自分の生いたちを知って(困惑する医師たち;風変わりな少女;性転換者 ほか)
第3部 自然のままの姿で(不可解な沈黙;あいまいな性器;カリスマの落日 ほか)

著者等紹介

コラピント,ジョン[Colapinto,John]
カナダ、トロント生まれ。トロント大学で文学修士課程修了。現在ニューヨーク在住のジャーナリストで、『ヴァニティ・フェア』『ザ・ニューヨーカー』『エスクァイアー』『マドモアゼル』誌などでコラムを書く。『ローリング・ストーン』誌に掲載された『幼児は〈性〉を奪われ少女として育てられた』の前身となる取材記事で全米雑誌賞を受賞した
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Christena

8
ジョン・マネー医師のマッドサイエンティストっぷりが怖い。社会学の授業でジェンダーについて勉強したことを思い出した。男性なのに本人の意思に関係なく、実験的に女性にされた本人の語りは、読んでいて辛くなった。2014/08/15

むっちょむ

6
辛くて少しずつしか読めなかった。この時代だけでなく、医学や研究が困っている人を助ける為に存在せず、患者、困っている当事者が研究者の実験台として存在してると捕らえてる偉い学者さん、今でもたくさんいるんじゃないかな。ここに出てくるマネー博士も他人の子どもではなく、自分のペニスを切り落として、自分に膣を作って研究すりゃいいのに。「医学においては正しい答えを持っていても周囲の意見が同調できるように待つこともこの仕事の一部」とか、めんどくせ~世界。半陰陽者にしろ、マイノリティが排除されない社会を願います。2014/09/10

Q afuremark あふれ印

5
内容を知らないままずっと気になっていた本。医療事故で男性器を失った子供に対し「無くなったんなら女の子にしちゃえ!」と乱暴な改造が加えられ、本質とは違った育てられ方をしたために彼も家族も苦しまねばならなかった、という内容だった。人為的に作り出された性同一障害? 彼は自殺未遂を繰り返すが、子連れのシングルマザーと結婚し、最終的に男性として安定した人生を得る。「男というのは妻を大切にし、家族の上に屋根を築き、良き父であってはじめて一人前だ。おれはあの子たちを育てている。それこそ男ってことさ」と言えるまでになる。2015/09/22

うにこ。

5
赤ちゃんの時の包皮切除手術のミスでペニスを失った男の子が、性転換手術で女の子にされて、当時の性医学の権威だった博士の持論「自己の性別の認識は環境に依存するものである」の実験台にされてしまった話。 読んでると、かなり悲惨です。 博士の独善的な理論のために彼とその家族が被った精神的・肉体的な被害はものすごいものがあります。 あと、これ系には珍しく文章が「読ませる」ものだった。 悲劇を強調するわけでも、著者の主観を挿入するわけでもなく、それでも突き放した文体になっていない。 後半の誤字はすごかったですが。2004/05/09

Jane Doe

4
ディビッドとその家族に起こった事が辛すぎて、一気に読む事が出来なかった。大学で性分化に関わる問題について学ぶ過程での読書。双子は弟、兄と続いて自ら命を絶ってしまった。日本では今も本人に告知なく手術が行われていると聞いて仰天した。私たち全てが、社会の一員としてこの問題に関わっている。自分と違う人を排除しない世の中なら、こんな問題は起きない。マネー博士も亡くなっているとの事だが、ミルトン・ダイヤモンド博士は度々来日しており、今年も来日予定。お話を聞きに行こうと思う。2012/06/21

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