内容説明
もう一つの「ホテル・ルワンダ」そこに日本人記者がいた。第五回開高健賞奨励賞受賞作品、待望の復刊。
目次
第1章 旅立ち(自衛隊輸送機にて;タイよりアフリカ・ケニアへ)
第2章 ザイールの難民キャンプにて(フツ族とツチ族の物語;難民うごめくゴマ ほか)
第3章 帰還難民虐殺現場にて(ジョンバ村へ;かけひき ほか)
第4章 ルワンダにて(自衛隊の防疫活動;一泊二日、ルワンダへの旅 ほか)
第5章 私の見た自衛隊と日本(なぜアフリカはいつまでも貧しいのか;ボランティアとは ほか)
著者等紹介
吉岡逸夫[ヨシオカイツオ]
1952年、愛媛県生まれ。東京新聞記者。米国コロンビア大学大学院修了。青年海外協力隊でエチオピアTV局と同国難民救済委員会に勤務。その後、カメラマンを経て記者に。93、94年東京写真記者協会賞、95年開高健賞奨励賞など受賞。ドキュメンタリー映画「アフガン戦場の旅」「笑うイラク魂」「戦場の夏休み」などを監督(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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テツ
13
内戦により全てが疲弊したルワンダでのPKO活動とそれに伴う取材。内戦や虐殺に至る過程と「善良な」一般市民が如何に煽動されやすいかということは二度と同じことを繰り返さないために戒めとして心に刻んでおきたい。荒廃した国を復興させるにはあたりまえだけれど金も人も大量に必要だし、ルワンダに直接関わってはいない世界の大多数の人間たちは自分の利益に繋がらない復興には興味がない。人間が成長し神様を殺してしまったこの世界で、他者を救うということが如何に大変なのかと知り暗いきもちになりました。2021/04/01
たまご
8
「純粋」さが虐殺を生む,という主張に半分うなずき,半分首をかしげ.ツチとフツと,両者の意見を聞いてから結論を出そうという姿勢はそうであるべきだと思います.抽出した対象が適当化は別ですが. ネタがないから読み手が満足するように大げさ?に書く傾向は,報道が戦意高揚や相手の非難に大きくかかわるだけに,どこまで真実なんだろうと考えさせられます.初めから結果ありきではいけません.情報にあふれているかに見える私たちの周囲の情報の,いかに不確実なことか.そして知らされない情報のいかに多いことか.2014/05/27
kakoboo
4
民族間抗争による大虐殺の歴史のみならず、自衛隊が派遣された際の現実や、ボランティア、NGO、国連といった組織の現地における生々しい活動の全貌を著者の視点から見ることができたのは非常に読み応えがあった。 報道をそのまま受け入れるのではなく、背景や現地の様子を知ることはより重要であると感じた。2013/11/13
まままま
1
「アフリカを自立から遠ざけているのは援助活動ではないか」 この部分が印象に残っています。メモ→農耕民族フツと遊牧民族ツチ(スラリと背が高く)。少数派のツチを介しての間接統治、フツが蜂起し独立。ツチのゲリラ組織「RPF」。94年フツ族ルワンダ・ブルンジ大統領撃墜死。ツチへの虐殺。RPF攻撃、政権奪回。ツチからの報復を恐れフツが難民として脱出。2013/12/15
Arte
0
自衛隊のPKO活動と一緒に、ザイールのゴマおよびルワンダに行った著者の体験記。死体の臭いのリアルさや、ニュースがないから、ゴマでデモが起こっただけで現地緊迫などと報道する、という話は興味深かったが、全体的に内容が薄い感じ。2016/04/06