内容説明
世田谷の某総合病院にかかってきた脅迫電話に呼び出された医師とその娘婿が相次いで殺害された―白衣を着せられ、首には針金が二重に巻きつけられているという奇妙な姿で…。妻の復讐のために次々と殺人を犯していく一人の男の執念を描いた表題作をはじめ、意外な結末の余韻が心を打つ、サスペンス・ミステリーの傑作全九篇を収録した短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yuna Ioki☆
46
1084-287-31 短編集なのに一話一話に物足りなさがなく、むしろ不要な物をそぎ落としたらこんな感じになりましたという感じの作品群。特に「二重生活」と「代役」が良かった(≧∇≦)b2015/07/23
90ac
38
連城作品に慣れてくると、きっと逆転してこうなるんだろう、なんて思いながら読んでいくと全く違った切り口でひっくり返され騙されます。この作品もそんな短編が９話も詰まっています。“裏切り”“欺き”が多いのですが、どれもアイデアに富んでいて飽きさせません。表題作はしっかり騙されます。考えて見れは犯人なのだから嘘をつくのが当たり前ですがその嘘に騙されにこちらまで考え違いしてしまう。解説者の言う「意味と関連性の転倒」を見事にやってしまいます。しかも文章が美しい。2015/09/24
KAZOO
24
私は連城さんの大ファンなのでどの作品も好きなのですが、特にこの短篇集は様々なタイプの推理物が収められており特に好きな作品集です。もう何度目かの再読なのですが、ミスディレクションやプロットがうまいといつも感じいってしまいます。もう新作品を読めないのが残念です。2014/09/10
星落秋風五丈原
21
世田谷の某総合病院にかかってきた脅迫電話に呼び出された医師とその娘婿が相次いで殺害された—白衣を着せられ、首には針金が二重に巻きつけられているという奇妙な姿で…。妻の復讐のために次々と殺人を犯していく一人の男の執念を描いた表題作をはじめ、意外な結末の余韻が心を打つ、サスペンス・ミステリーの傑作全九篇を収録した短篇集。1998/12/25
乱読９９９＋α
10
連城氏の作品はどれも湿っぽい、ジトッと絡み合う情念を感じさせられる。実に抒情的な文言が乱れ絡み合う。何かを背負った男と女の切なくも哀しい性（さが）の９つの短編集。騙し騙され、嘘と真実の鬩ぎ合いが色濃く、そして艶っぽく描かれている。昭和５０年代後半の作品のため、今の世情や科学・ＡＩの発展にそぐわない部分もあるが、それらを差し引いても人の心情にゾクッとさせられ、見事などんでん返しに感嘆するしかない秀作揃いだった。2016/12/30
