内容説明
厚いベールに包まれた第７３１部隊の全容は、元隊員たちの固い結束により秘匿されていた。しかし、棟居は執念の捜査を続けた。マルタの奇跡的生存者・楊君里の無念の死に報いる為に。棟居の情熱は、元隊員たちの心を揺るがし、いまなお引きずる重い鎖を断ち切るべく難航する捜査に協力する。そして、ついに第７３１部隊が行ったおぞましい事実が明らかにされ、哀しい結末を迎える。第７３１部隊を題材に、日中十五年戦争の意味を炙りだす戦慄の長篇、完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ろびん
4
お金も時間も使って掘り返すだけ掘り返して、ほとんど誰も何も報われないという。2018/02/02
samandabadra
2
731部隊ものの小説 2009/07/29
Yukiko Ono
1
日本に仕事で訪れていた中国人通訳がタクシーの中で死亡していた。傍らにはレモンが。レモンから判る被害者の身元、そして過去。事件の解決には第二次世界大戦での日本の731部隊が大きく関わっていて…近代史それも戦争の歴史に興味のある人はとても読み深い作品です。個人的にこういうタッチ好き。2013/03/06
あかいん
1
731部隊の名前くらいは聞いたことはあったけど、上下巻ともに、ＴＶ等の戦争体験では語られない生々しい内容で何処までがフィクションなのか難しい作品だと思った。 戦争当時だけでなく、その後もずっと因果関係が引き摺られているのが切ない。2011/03/26
S.F.River
0
推理小説の形をとっているが中身は731部隊に関する隠された真実の暴露秘話。そのため事件解決は非常に回りくどい展開になっている。太平洋戦争に関する物語は多々存在するが、多くは日本人が被害者となったものが大半。これほど非道なことをしておきながら上層部は早々抜け駆けしけして後の富裕層へ君臨しているとは許せない。あとがきでは実際の731捕虜には生存者が存在しない（全員虐殺された）。事実が隠蔽されることも含めてホロコーストより非道とあり、本当に目を覆うばかりだ。4.52018/09/23
