内容説明
“異変”は突然の出来事だった。新聞記者・福井浩介はある朝、普段とはまったく違う光景を目にする―いや、「世界」はそのままなのだが、そこからは「人間」の姿が一切消えてしまっていたのだ!福井の他にも何人かの“消え残り”が確認され、この異様な事態の究明に乗り出すのだが…。人類消失という極限の状況下、人はいかに行動し、文明はいかに機能するのかを描く異色SF長篇。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かぷち
54
ある日突然人類がほぼ消失した。魅力的な設定、不可思議な謎、残された人間同士の争い、SFサバイバルのお手本要素満載も、どれも浅く広く掘り下げていて(アマチュア無線はやたらと詳しく趣味全開)もっと素材を活かして欲しかったという印象。玉木のように欲望を抑えられない男が沢山出てくるだろうし、大内の新興宗教の話も尻すぼみに終息してしまったのが残念。ただ、全部丁寧に壮大に描いてたら『日本沈没』並みに長くなるか。不満はあったけどそれでも面白くて、一気読みでした。2023/09/13
たか
41
SFの巨匠が書いた異色作。 ある日、目覚めると世界中から忽然と人が消えている。わずかに残った『消え残り』が日本各地から集結する。『消え残り』が知力を結集させ、時に仲間割れを起こしながらも、生き抜くための努力をしていく。 ラストで明かされる『人類消失の謎』が…⁉️。C評価2018/01/27
GaGa
34
正直中身なし。でも小松左京のライフワーク的な作品として評価しなければならないのだろう。ただ、この作品における問題は「復活の日」とかですでに提示されているのでそれを上回ることはない。まあ、この手のSF好きが暇つぶしに読んで見てはどうかというもの。2013/02/08
七色一味
22
読破。再読です。突然、一夜にしてごく限られた者以外の人類の姿が消えてしまったら? たった一人残されたと思った福井の行動や、その他の「消え残り」の人々の行動が、人間臭くてリアルに感じられる。惜しむらくは、これが果たして何のために起こった事態なのか、それが漠然としたままで、収まりの悪さを感じました。まぁ、多分これが理由ってのは、漠然とはありますが…。 ちなみに私の持ってるのは角川文庫版です。2011/11/21
tama
16
自本 朝日新聞社刊77年初版 栃木時代に購入 数度目の再読 小松ファン 沈没と首都喪失の間の作品ですね。どちらも国の形がなくなったときの「日本人の」行動が扱われてますが、もう一つ作者が何気に登場するという形では、この作品の直前の「題未定」、直後の「時空道中」と同じ手法。大阪で電気屋やってた真崎おじさんがいかにも大阪人で心休まる。名古屋の伊沢老人はかっこよいねぇ。気質をバランスよくちりばめているところが小松大人の佳いところ。ストーリーは結構緊張感あるけどいい具合にホッとできる。2018/04/02