内容説明
「日本語を愛する一番よい方法は?歌って叫んで、呪文を唱えること」「立派な国民になる一番よい方法は?とことん貧乏になること」―歌であり、詩であり、日記であり、エッセイであり…日本語をこよなく愛する、日本文芸界注目の作家による、真摯で過激な言葉のライブ、待望の文庫化。
目次
第1章 天丼ゆうてる
第2章 うどん玉・バカンス・うどん
第3章 また時間どおりに来やがらぬ
第4章 「唱歌注解」全アジアの女性たちよ
第5章 このようにジャンプを繰り返し
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
33
☆☆☆★ 町田康は詩そのものよりも、散文中に現れる呪文のような関西弁とドタバタぶりの表現が面白い。「休まずにごんせや まがごとを払え 休まずにごんせや つみけがれを払え」「さらばでごんす 明石海峡に橋を架けておるが 人柱は足りておるのだろうか 祟りますよ 祟りますよ 排気ガスを浴みせかけて 走り去る者 祟りますよ 海底に響くたわごと」(うどん玉・バカンス・うどん)2019/08/05
A.T
23
落語のような下町なのか場末なのかの貧乏長屋の会話の節がついていたり。それがほぼ全部1人語り、独り言。途中で話が方向転換して飛ぶので、起承転結などの論理的な進行にはなっていない。が、半ばも過ぎると町蔵節がのり移ってくる。第3章は趣向を変えて、町田町蔵のバンドマンとしての活動が日記形式で綴られる。1990年頃、町蔵のように貧乏をしながら活動していたバンドがたくさんあった。フィッシュマンズ、ザ・フールズ…などのいっとき輝きながら消えていったミュージシャンもこんな世界の住人だったのかも…などと懐かしむ。2023/04/16
田氏
12
仕事忙しいのはかめへんけどな、読まれへんやん、本。時間なくて。せやから、なんか読めそうやな思って町田康、本棚から抜いてん。読まれへん。全っ然読まれへんねん。すぶやんはこう言われるし、キーオは死罪なるし、純粋急行は駅などという些細な存在にかまけることなく驀進して終点の駅ビルに突入して爆発炎上。素敵、おほほ。あとな、語彙。ぼけなすデベロッパが開発放棄した辞書アプリが俺のスマホに入ってたからええようなもの、なかったら三割方が謎熟語。いや、良い意味ですぜんぶ。本当に。踊れば信じてくれますか。振りましょうか、腹を。2024/04/13
エリ本
7
これこそ「町田康!」というような文体です。溢れ出てくる言葉が止まらず、息つく暇も無く書き上げたような一冊。第三章のエッセイは面白かったのですが、それ以外は正直分からない部分が多かったです。解説に「言葉にリズムがある」と書いてあったので、読むより何か感じたい人は読んでみて下さい。😁2021/01/23
;
7
「まぬけ面を全世界にさらして/大通り公園でむつかしい顔面/ターミナル駅でちょっとへらへらしてから/更に方角を定めよ/怨念をポップに散らかして/でたらめの限りを尽くせ/もうこれ以上俺に何も言うな/俺は今ここですべてのことがわかった」(「僕と共鳴せえへんか?」)2016/05/03