出版社内容情報
妙な話だが、医療現場にいる人間がいちばん驚くのは、大勢の患者が死んでゆくという事実なのだ。本書は私設療養所で死んでいった人たちの臨終の記録だが、随所に医学裏面史や偽薬効果、近代医学と民間療法のせめぎあい、医学に見られる非科学性、ガン研究の失敗例、一般人の医学観、医師たちの信じがたい思いあがり、死を考えまいとする人がとる行動、そして脳と心の不可思議な結びつき、といった医療現場での雑感も織りこんでみた。
内容説明
本書は、私設療養院で死んでいった人たちの臨終の記録だが、随所に医学裏面史や偽薬効果、近代医学と民間療法のせめぎあい、医学に見られる非科学性、ガン研究の失敗例、一般人の医学観、医師たちの信じがたい思いあがり、死を考えまいとする人がとる行動、そして脳と心の不可思議な結びつき、といった医療現場での雑感も織りこんでいる。
目次
医者仲間
「肉に過ぎない者が、わたしに何をなしえましょう?」
デカルトの松果腺
なんじ塵なれば
招かれざる弔問客
死の依頼
死の願望
死の淵に揺れるロウソクの火
冷蔵庫内の靴
試験の結果〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねこまんま
25
安楽死が認められているオランダの療養院に勤める医師が書いた死の記録の数々。翻訳本なので、ちょっと読みにくかったり、理解しにくいところもあるけれど、これだけ日常的に「死」に直面する医師が、日々何を感じ、患者や家族とどのように葛藤しているのかが良く分かる。安楽死については医師もそれこそ決死の思いで臨むのに、「あ、ちょっとまって、」「やっぱ、来週にしとこうかな」なんて言い出す患者へイラついたりして、医療サイドの辛さがうかがえる。すごい内容の話なのに、ブラックジョークのようなやりとりにクスッとしてしまう。 2015/10/22
よふかしとるねいど
1
患者「先生、どうして私は病気になったんでしょうか」、医者「心臓の弁がうまく閉じなくなったんですよ」、患者「そうですか、でもどうしてこの私が?」、医者「ちょっと待っててください、牧師を呼んできますから」。この序文(ちょっと細部違うかも)が、すごく大まかだけどこの本のテーマを表してるように思う。みんな自分だけは~って思ってるけど、その中から誰か確実に自分だけは陥らないと思ってた場所に嵌ってくんだよなあ。しかも人間にわかる程度の理由なんてなしに。久々にもっかい読みたい本。2013/01/29
key
0
死んでいく人間がどんな様子か、安楽死が認められているオランダの医師という立場から書かれた、哲学的でもないしとても冷静で、でも滑稽だったりあったかかったり寂しかったりする人間達の観察記。