感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bevel
4
哲学を突き詰めると、「詩」になる、「政治」になる。こういう言い方を「縫合」とよび、バディウが目指すのは、もちろん脱縫合だ。バディウの哲学は、慎重に定義されるデカルト的な主体の理論と、類生成的な「詩」「政治」「数学素」「愛」とのある独特の距離によって規定されると言えるだろう。つまり、「対象」(=本質=見えるもの)を作り出すものとしての主体と、その条件として主体と複雑な関係を持つ4つのものを存在という媒介で結び付ける試みだ。2012/03/17
罵q
1
哲学の役割を共通の場の生成としたバディウは、体系性への志向からも見て取れるように「デカルト的省察」の系譜を真正面から引き受けようとしている。集合論を用いて<多>を再導入しようとする試みは特に興味を惹かれた。主著群の早い邦訳を望む2018/11/07
しお
1
状況・出来事・真理・主体等の諸範疇諸言表を「証明抜き」で提出する。バディウが『存在と出来事』を通して言ったことであって、いわゆる「ポストモダン」などの領野で(幾分か悲観的な問題意識として)共有されていたもの[cf.リオタール]が、バディウ自身の手によって本書の上で非常に高密度に整頓、提示されている。とはいえ、19世紀以後大陸で展開されたある種の哲学に横たわる(通時的な)文脈がよくわかっていないと、本文だけではとっ掴みづらい。後ろのインタヴューと解題(バディウの数学的存在論に関するレジュメ)も併読されたい。2018/08/16
-
- 和書
- まんまるハオちゃん