内容説明
本書は、イバン・イリイチが1970年代末から80年代に発表した論文・講演草稿で未発表のものをほぼすべて集めたもの。本書で、われわれは、「稀少性の歴史」の一端を知ることができるだろう。また、真の思想家がつねにそうであるように、自己解体‐構築を繰り返していたということもわかるだろう。さらに、イリイチの思想が、今日に生きる思想であるばかりでなく、われわれがそれによって生きる思想であることも、本書は示してくれる。
目次
1 稀少性・ニーズ・コモンズ(住まいとガレージ―住人と居住者をどう区別するか;静けさはみんなのもの;現代的な意味での貧困―〔依存〕欲求の歴史に向けて ほか)
2 文字・技術・身体(文字文化とコンピューター;技術とエネルギーの概念;健康・からだ・生命の概念)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
無職のhkmaro
1
技術とか文明に頼ると次第に人間はそれに依存することになり受動的になり自らの力で生きていく能力を失うばかりか、一見便利に見える技術や文明は逆にそれを使用する人間の生活の利便性を損ないすらする、というのがこの本の大きな趣旨だろうが、結局それはDIY的なアナーキズムに近くなる。現代でそれやって成功するのは非常に難しいと思う。現実的にあり得るのは、坂口恭平みたいに都市型の自給自足をする方向性だろうが、俺は坂口恭平が心底嫌いだ。ハイデガーの田舎暮らし思想の延長線上にあるような印象も受ける。2014/06/12
Yuki
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ラディカル・フーコー見参!ってことで。
左手爆弾
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生きる力を奪うもの、これを開発と呼んではいけない。進歩に対する新しい見方を考えなければならない。自分で出来ることが増える、ということが進歩ならば、ガソリンに依存しなければならない自動車よりも自転車の方がよいし。電池に頼らなければいけない電子辞書よりも紙の辞書の方がよい。便利の裏側には「管理される」ことへの合意が含まれている。2011/11/12
kozawa
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記述に古びた感は少ない。彼の本として最初に読む本ではないのかもしれないが。2011/02/10