内容説明
サイコ・スリラーの原点『サイコ』―この映画の製作にまつわる秘話が、ここにはじめて公開される。大胆不敵かつ話題騒然たるこの映画の誕生の舞台裏を、著者のレベロはあますところなくつたえる。ヒッチコック個人のファイルから、スターや作家や映画スタッフに肉薄するインタビューから、今まで知られていなかった巨匠のありのままの姿が浮かびあがってくる。あらたに見つかったメモから、著者のレベロはヒッチコックが撮影所の権謀術数や検閲ややかましい同僚の映画人たちをいかに乗りきったかをつたえてくれる。
目次
第１章 耐えがたい真実―エド・ゲインの残虐行為
第２章 小説―拝啓ロバート・ブロック様
第３章 監督―アルフレッドの災難
第４章 契約―ヒッチコックの計略
第５章 書き直しにつぐ書き直しの脚本
第６章 プリプロダクション―撮影所
第７章 撮影開始―プロダクション・ナンバー９４０１、ヒッチコックの「３０日映画」
第８章 ポストプロダクション―撮り直し、微調整、優柔不断
第９章 『サイコ』の取り扱い説明書
第１０章 公開後の衝撃―世界は狂人と化す
第１１章 『サイコ』の余波
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fritzng4
1
『サイコ』と言えば今でこそ誰もが知ってるヒッチコックの代表作だが、製作当初これほどの歴史的作品になるとは誰も（当の監督自身ですらも）予想していなかったことが関係者の取材により改めて浮き彫りになる。著者の記憶違いが散見されるのは残念だが、それを補って余りある気合の入った訳注と、どうやら日本版だけのシャワーシーンの絵コンテと予告編の切り出し採録があって嬉しい。脚本のジョセフ・ステファノが何だか生意気だ笑。2023/03/14
unpyou
0
映画史に多大なる影響を及ぼした比類ないマスターピース「サイコ」が世に出た過程を、綿密な取材・資料と証言によって構成したドキュメント。練りに練られた台本、ヒッチコックの執拗なまでの観客の意識コントロールへのこだわり（音響についての指示メモ採録が圧巻！）、しばしば言われる「シャワー・シーンは実はソール・バスがつくった」説の分析、映画宣伝を決定的に変えた予告編および宣伝コピーに劇場向けに配布された『取扱い説明書』等々、多岐に渡りつつそのいちいちが興味深いエピソードが読みやすくまとめられた、ファン必読の書。2013/05/09
