内容説明
10光年のはるか彼方から鈴木いづみが還ってきた。狂気漂う長い夜を彷徨する少年少女たちを描く短編小説集。初の単行本化作品5点収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かみしの
6
倦怠と惰性。読みながら常にひっぱられそうで怖い短篇集だった。セックスで、麻薬で、暴力で、疾風怒濤の時代がすぎてしまったあとの、どうしようもない閉塞感。決して断絶しているわけではない、むしろつながってしまうことから生まれてくる孤独感がただよっている。「歩く人」や「悲しき願い」のような幻想といえる作品にも、どうしようもなく鈴木いづみが憑依している。「きみなんか、この世界と自分とが、一ミリの何分の一かのズレでもって、接しているって感覚なんか、わかりっこない」「この世界のいっさいのものが、自分を見すてていく」2016/07/28
鏡子
5
「悲しき願い」 「歩く人」 この二つなんかは夢を見ているような不気味な気分になってよいです。 こういった作品が私は好きです つげ義春みたいな。 2012/03/14
かずちゃん
1
60年代後半の時の不良、暴力などが短編集だがほとんどの作品に描かれている。懐かしの昭和と最近は、いい時代と思ってしまう感もあるが けっしてそんなことはなかったのではないだろうか。 いつの時代でも あぶれてしまう者はでてきて正常に暮らしていけない人がいるのでは なかろうか2014/07/12
01
1
独りじゃないけれど、孤独だから破滅に向かっていけるのでしょう。2011/09/22
音
0
鈴木いづみの作品に出てくる人は男も女も みんな彼女自身。愛する事を諦めない彼女に引き込まれる。不幸感しか感じない内容なのに、何故か不幸に感じない。2014/04/29