出版社内容情報
野火で羽を傷めたカササギはイヌに助けられ、生きる希望を見いだす。無二の親友となったイヌとカササギだが、ある日孤独を抱えたキツネが現れると何かが狂いはじめて…。荒野を舞台に友情と裏切り、孤独と妬みの心理劇をストレートに描く力作。
内容説明
野火で羽を傷めたカササギはイヌに助けられ、生きる希望を見いだす。無二の親友となったイヌとカササギだが、ある日、孤独を抱えたキツネが現れると何かが狂いはじめた。カササギの心に起こる動揺…。友情、裏切り、嫉妬、孤独。人間の性ともいえる様々な感情がうずまく。生きることの喜びと哀しみを凝縮した、ワイルド&ブルックス渾身の作品。
著者等紹介
ワイルド,マーガレット[ワイルド,マーガレット][Wild,Margaret]
シドニー在住。児童文学作家。作品に『ぶたばあちゃん』『ロージーとちびっこかめさん』(共にロン・ブルックス/絵、あすなろ書房)などがある
ブルックス,ロン[ブルックス,ロン][Brooks,Ron]
タスマニア島在住。子どもの本の挿絵を数多く手がける。作品に『あかちゃんなんてだいきらい』(J・マックレランド/文、岩崎書店)など
寺岡襄[テラオカタカシ]
1937年東京生まれ。東京大学教養学部卒業。雑誌や絵本の編集に従事したのちフリーとなり、現在、執筆・翻訳・編集企画などで活躍中
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
68
羽が焼けて飛べなくなったカササギを片目が見えないイヌが助けた。初めはいじけて心を閉ざしたカササギだったが、二匹はお互いに足りないところを補い支えあって生きていく。「わたしがあなたの目になるわ。あなたは私の羽になって!」幸せな二匹の前に、孤独で美しいキツネが現れた。キツネはカササギにささやく「おれはイヌよりはやく走れるぜ、おれといっしょに行こうじゃないか」▽高学年向け絵本。印字ではなく手書き文字で、あえて向きを変えたり大きさを変えて書かれた文字が印象的。大人向けでもいい。2018/10/19
クリママ
49
最初のページに、カラスを咥えたキツネが。悪い予感がしたが、そういうことではなかった。やけどで飛べなくなったカササギを助け、背に乗せて走る片目の見えないイヌ。途中でキツネに出会う。絵も手書きの文も強烈。ハラハラしながら読む絵本は、かなり珍しい。孤独、そしてそれを乗り越えるもの。カササギ、がんばれ! 2020/10/14
gtn
38
悪の思惑に反して、善の絆は切ろうにも切れなかったということ。悪は一層孤独を募らせる。善に転ずる以外救われないことに、いつ気付くだろう。2020/08/19
とよぽん
36
カササギは犬に助けられ、生きる希望を取り戻したのに。犬はカササギの翼になり、カササギは犬の目の代わりになって、仲良く暮らしていたのに。孤独なキツネが犬とカササギの仲を引き裂く。とても深い話だった。そして、絵が物語の無気味さ、怖さ、哀しさをとてもよく表している。文字は手書きで、表情のある文字だ。普通の絵本のスタイルを超えた素晴らしい絵本。中学生以上にすすめたい。2018/10/27
鱒子
34
図書館本。絵本ですが、かなり独特で読みにくいです。踊るような手書きの文字の味わいが、本としての質を高めているのは確か。非常にセンスのいい絵本です。しかし、もしこの本を使って読み聞かせをするなら、暗記するほど読み込んでおかなくてはならないでしょう。お話の方は、男女のもつれあるあるネタっぽいです。私にとって、表紙とタイトルからは、想像もしなかった内容でした。子供より大人向きかもしれない絵本です。2017/02/18