内容説明
生態学的視点から生命の危機を訴えたカーソン。その著『沈黙の春』は全世界にショックを与えた。海洋生物学者であった彼女は研究を進めるうちに、潮の永遠のリズムの中に生きる生物たちに〈生命の棲み家―地球〉の姿をみたのだ。カーソンの原点ともいうべき本書は、海辺のさまざまな環境と生物たちの生態とをあますところなく紹介し、その魅力を伝えている。
目次
序章 海辺の世界
第1章 海辺の生きものたち
第2章 岩礁海岸
第3章 砂浜
第4章 サンゴ礁海岸
終章 永遠なる海
付 海辺の生物の分類
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
himawari
9
海辺はとても美しいところだと教えてくれる。昆布をリボン、海藻の手触りをシルクやトルコ綿の上質なタオルに喩えるなんて、レイチェルカーソンのセンスには脱帽する。詩的で文学的でありながらもしっかりと学術的に正しく海辺とそこに生きる生物が解説されているのは彼女が海洋学者なので当たり前のことなのだが、素晴らしい。彼女の海を語る言葉と知識の豊さに憧れる。この本を読むと今までとは全く違った視点で海を眺めることが出来るだろう。まるで海を見るための新しい眼と能力を得た気分だ。2015/03/23
オカピー
6
海辺の生き物の物語。人間目線でもあるし、時には動物や鳥類の目線で語り、情景が目に浮かんできます。生物の進化の不思議にも、感動を覚えます。ボブ・ハインズさんの挿絵も、結構、リアルで写真のようでいいですね。2023/12/23
ハンパク
1
著者の自然に向けるまなざしがとても素敵。物語を解読するように、海辺の生態系とふれあい、季節のなかに生きる。ときに暴力にもさらされたのではないか。海の持つ荒々しい暴力である。波に生き物がさらわれたり、クラゲに刺されたら、怖いだろうな……。自然の中にふるえる自分の感受性を見出すとき、波は向こうからもこっちからも押し寄せては、交流する。2017/02/17
zora
1
ほとんどが情景描写と固有名詞なのに、とても美しくて文学的。長く読み語り継がれるのが納得の魅力的な本。静かな夜、図鑑と地図と一緒に世界に浸りたくなる。2014/07/16