内容説明
中国においては、秦漢帝国の成立から清帝国の滅亡に至るまで、皇帝による官僚制的統治が継続した。このような統治の基本的枠組みは、秦漢帝国の成立に先立つ戦国時代を経過する中で次第に形成されていったが、この時代は中国史上きわだって都市の発達した時代である。本書では、都市の性格の究明を通して、そのような統治の枠組みの特質とその成立要因について、文献資料だけでなく考古資料も駆使して探究する。
目次
第1章 戦国時代の都市の発達
第2章 都市発達に関する二つの見方
第3章 都市発達の地域的片寄り
第4章 三晋地域の都市発達の要因
第5章 戦国都市の制度的特質
第6章 三晋都市住民の性格
第7章 都市における「市」の役割
第8章 秦の天下統一と都市
第9章 秦末の都市反乱
第10章 漢帝国の都市支配
終章 官僚制の形成と都市
著者等紹介
江村治樹[エムラハルキ]
1947年京都府舞鶴市に生まれる。神戸大学文学部史学科(東洋史学専攻)卒業。名古屋大学大学院博士課程史学地理学科(東洋史学専攻)中退後、京都大学人文科学研究所助手(東洋考古学)。その後、名古屋大学文学部助教授(東洋史学)を経て、同文学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Masaru Inose
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とりあえず読了。ひとくちに都市といっても、交通の要衝である三晋地域のそれと、楚、斉なんかの中原をやや離れたそれとは、形態も由来も機能も違うということがよくわかった。考えてみれば当たり前なんだよなあ、中国って莫大に広いもんな。全然関係ないけど、中国に行きたくなった。途方もない広さを目の当たりにして途方にくれたくなった。2012/08/08
cdc@カエル王ピクルス
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春秋~秦漢の「賢」の概念に関する考察で既に筆者のことは知っていたのでこの本に興味を持った。中国古代史は中央集権体制が確立される点に目が行きがちであるが、都市という視点からそれをみると、地域ごとの都市の性格や諸侯の統治手法の違いなどを見ることができた。また「賢」に関しては、都市の自立性や官吏任用制度への発展との関連で述べられていて、「賢」の概念を体系的に捉えることができた。2011/07/18