内容説明
本書は、２００１年春に発見されたアメリカ議会図書館所蔵の伊能大図模写本（明治以降制作の写し）およびフランス人イブ・ペイレ博士所蔵の伊能中図の里帰り展覧会「伊能忠敬の日本地図」と、アメリカ伊能大図原寸複製図「里帰りフロア展」がおこなわれる機会に、この二つの伊能図の細部を紹介するために制作したものである。
目次
伊能大図―アメリカ（東京中心部；東京とその周辺；八王子；東京南西部・羽田 ほか）
伊能中図―フランス（北海道東および北海道西；函館から内浦湾；東北地方；仙台・松島 ほか）
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Lila Eule
6
地図の側線を追っていくと、道のりの果てしなさにつくづく偉業を思う。海岸線に沿い歩を進め、断崖には船を仕立て、測量をしていく御用旗の一隊。その秩序だった行動は、各地で国威にもなっていったのではないかと思ってしまう。この数十年後に鯨油目当てに強欲な西洋人が押し寄せることになる極東の島々には、決してひけをとらぬ科学性と合理性と、そしてかれらには備わっていない秀でた和の精神を備えた日本人がいた。西洋科学の本質を見抜き、精神と技を磨き、国難にあたってゆく次代の序章になる事績と思う。西洋人が盗み出すほどの技芸の賜物。2018/11/29
