見えない人間〈1〉

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  • サイズ B6判/ページ数 409p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784888963350
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

主人公の「僕」は、ニューヨーク・ハーレムの廃墟になったビルの地下室の穴ぐらに独りで暮らす黒人青年。物語はそこでの回想ではじまる。地元の有力者が集うパーティの余興に、目隠しをして黒人少年同士で殴り合いをさせられた後に演説をした褒美として、折りかばんに入った大学の給費生資格書をもらう。大学3年の時、白人の理事を車で案内する際に、その理事の希望どおりに黒人のスラム街に連れて行く。それが原因で、「僕」は退学処分となる。そのために「僕」はニューヨークへ行き金を稼ぐためにペンキ会社で働くが、ボイラーの爆発事故に遭い、その会社も辞めさせられてしまう。芒然自失の状態でハーレムをさまよっているうちに倒れ、幸い黒人の老婆に助けられ、その老婆のアパートに居候することになる。

著者等紹介

エリスン,ラルフ[エリスン,ラルフ][Ellison,Ralph]
1914年3月、オクラホマ・シティに生まれる。リチャード・ライトに勧められて書評を書くようになり、エリスンにとって、これが作家になる契機となる。『見えない人間』の発表によって、一躍、文壇の寵児になる。生前の彼は主として評論を中心に活躍したが、1994年4月、ニューヨークの自分のアパートで膵臓癌のために死去

松本昇[マツモトノボル]
明治大学文学部卒業、同大学院博士後期課程満期退学、現在、国士舘大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

297
本書が書かれたのは1952年。マルティン・ルーサー・キング等による公民権運動に先立つこと3年。あるいは、本書も火種の一つになったかもしれない。オバマ大統領の登場など夢にも考えられない頃だ。物語は、1930年代。依然として、黒人は白人とは別個の存在とされていたような時代だ。そのことを象徴的に描くのが冒頭のバトルロイヤルのシーンだろう。物語は、主人公の主体獲得へと進みそうに思うのだが、これを語るのが「見えない人間」となった主人公なので、どうやらそのような単線的な小説ではなさそうだ。期待を持って下巻へ。2017/01/20

ケイ

117
見えない人間=SF的な透明人間、かと思ったら全然違った。1950年代、まだ黒人差別が歴然と残るアメリカの話。なぜ、見えない男かというのは、ネタバレになってしまうが…。感想は下巻で。2017/03/13

Willie the Wildcat

63
異なる世代や人種などからの”教訓”。選定基準を身にまとう前に荒波に巻き込まれ、たどり着いた場所と人。不文律の規則や掟に従順な姿勢を貫こうにも、道理が通らない時勢。強制立ち退きの場面での鬱積した心の叫びが、言葉となる!出会ったランボー老人とブラザー・ジャック。どうにも天使と悪魔という感。冒頭に語られる首題の件は、とても意味深。物心の両面だが、後者が齎す前者の不可視性かと推察。生きる実感・・・、ここに本質が隠されているのかもしれない。ブレドソー化というキーワードと共に、後編の謎解きが楽しみ。2018/06/14

ヘラジカ

22
主人公は冒頭で自らを「見えない人間」と称するが、それがどういう意味なのか、またそれに気づくまでの道程が回想として語られる。前半は一言で言うならば不条理劇。しかしこれは、超自然的な不運が重なる体の不条理的ではなく、当時の黒人にとってはある程度普遍的な運命を絵にした物語なのだろう。詳細な感想は下巻読了後に書く予定。なんとなくこの本は一冊にまとまったもので読みたかった気がする。途中間を空けなければ良い話なんだけど。2016/05/16

まふ

12
黒人小説の恨みつらみのようなクササが感じられず、構成も筋立てもよくできており、期待が持てる。頭脳明晰で弁論得意な黒人青年が奨学金で名門黒人大学に入るが理事の白人の運転手のアルバイトをしてから事件が始まり大学を追い出され、ニューヨークに出てくる。紹介された会社で操業事故を起こし病院に運ばれる。回復して退院したその日にアパートを追い出された黒人老女の応援演説をしたら大騒動になり逃げ出したところが組織の者らしい男に跡をつけられ「演説がうまいと」と言われたところで上巻は終わり。2022/03/28

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