感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
178
みんなそこにいる意味がある。大地に堂々と立っているモミの木がどんなに美しく手に入れたくても、買い漁ってはいけないものがある。商人は美しさがお金に見え、バルサムモミの山の香りを感じることもない。農夫は自然への畏敬を念を抱き、一本一本が自然のままでいてほしいと願う。なぜここに木が生えているのか、考えたことはありますか。切り株になってしまったらここに何が残るか、想像できますか。一方が満たされて、もう一方が壊れていく、それが本望ですか。人は見たくないものを見ない。冷たさと温かさ、どちらも人であると問いかける絵本。2024/01/06
とよぽん
32
「詩人の仕事は、生きる歓びをうたい 時代を先読みすることにあります。」と童話屋の編集者田中和雄さん。ロバート・フロストも然り。文明の使者・商人はモミの木を1000本30ドルで買い付けに来た。農夫は美しく神々しいモミの木を売る気などない、と断る。文明が人類を破滅の淵に追いやることを予見したフロスト(1874～1963 アメリカ)からの、とても深い示唆を受け取った。2019/12/21
gtn
30
一瞬心が揺らいだ自分を恥じるモミの持主。だが、モミは泰然としている。持主の手紙は、その罪滅ぼし。2022/03/31
シュシュ
28
ファージョンの『思い出のエドワード・トーマス』を読んでいたら、ロバート・フロストがすごい詩人だと書いてあったので読んでみた。とても、よかった。モミの木がたくさんある山を持っている農夫と、クリスマスツリーを買いにきた商人とのやりとり。モミの木は、自然のまま山にあるのがいいのだ。「おまえたちは、ここにいることで、大事なたくさんの仕事をしている。生きているからこそ美しく、立派なのだよ」売り物ではない。農夫が友だちに書いた最後の手紙が素敵だった。2019/03/30
Willie the Wildcat
27
量的価値に対する質的価値。双方に齎す影響。心理的、そして物質的。不変の想いと、揺れる心。現代の荒波を感じさせる”予兆”での終結。感じ、考えさせる一冊。絵は、重厚な油絵調。紳士と主人公の並ぶ表情が、印象的。刻まれる皺、日焼けの有無など、様々な対比が比喩となっている気がする。USで毎年この時期話題になる”モミの木”論争が頭に浮かぶ・・・。2013/12/22
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- 和書
- 私記キスカ撤退 文春文庫
