内容説明
自衛権をめぐる様々な問題を国際法の観点から実証的に考察!10人の気鋭の国際法学者が、従来の単純化・硬直化した捉え方を排し、今日的課題に正面から取り組んだ画期的な書である。
目次
第1章 国連憲章と一般国際法上の自衛権
第2章 集団的自衛権と国際法
第3章 自衛権行使における必要性・均衡性原則
第4章 自衛権と弾道ミサイル防衛の法的根拠
第5章 低水準敵対行為と自衛権
第6章 自衛の発動要件にとっての非国家的行為体の意味―国際判例の観点からの分析
第7章 自衛と域外法執行措置
第8章 自衛権行使と武力紛争法
第9章 自衛権と海上中立
第10章 憲法上の自衛権と国際法上の自衛権
著者等紹介
村瀬信也[ムラセシンヤ]
1943年愛知県名古屋市に出生。1967年国際基督教大学卒業。1972年東京大学大学院法学政治学研究科修了(法学博士)。立教大学法学部専任講師を経て、1974年同学部助教授、ハーバード・ロー・スクール客員研究員(1976年まで)。1980年国際連合本部事務局法務部法典化課法務担当官(1982年まで)。1982年立教大学法学部教授(1993年まで)。1993年上智大学法学部教授。1995年コロンビア・ロー・スクール客員教授、ハーグ国際法アカデミー講師。1998年アジア開発銀行行政裁判所裁判官。専攻は国際法、国際環境法(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヤギ郎
7
村瀬信也による記述が印象的。国連憲章を思いもしなかった方法で読んだので,個人的に新鮮。さすがILCメンバーだ。国際法上のテロ行為について,はっきりと述べた記述はなかったが,少なくとも論争の多いテーマであることはわかった。国際法における慣習法の扱いが考えものだな。2018/05/13
ななみ
0
今話題の自衛権について、実に冷静に整理された本。一部には金科玉条のごとく扱われている国連憲章が、実は英文と仏文では表現が微妙に違っており解釈の余地が大いに残ることは非常に興味深い。また、第二次大戦後の短い時間の中でどれほど国際情勢が変化したか、それによって戦争や自衛の概念がどう変わってきたかについては、今後を考える上では決して外すことができない視点であることもよく理解できる。2014/09/27
南禅寺の小僧
0
国際法の基本書(ex.「国際法学講義」)を通して読んで理解していればついていける程度の議論(条約集やICJ判例は適宜参照)。国際法上の自衛権の議論を判例・学説を交えて追いながら、日本における自衛権の在り方を最終目標としては考えている様子。基本書と論文の繋ぎ。仕方ないとは思うものの、テロに対する自衛権の記述が少ない2010/10/06