内容説明
問題としての遠近法、視野は球面状をなす、視像の彎曲、角度の公理。消失軸原理、古代空間感情は体系空間を要求しない、世界は非連続。遠近法へ、世界は連続体、平面への還元、再び物体の解放、現勢的無限の発見。遠近法の両価性、外界の体系化と自我領域の拡張と、古代神権政治の終りと近代人間の政治を印づける。知覚の現実に逆って、無限・等質な空間構造を作りあげる、精神史のダイナミズムを骨太にかつ精緻に描く名著。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
生きることが苦手なフレンズ
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TX車内と自宅で読みました。初期の論文だからか、イコノロジー的な考察、手法の萌芽がしっかりと出ていますが、技法の分析、技法の変遷に関する仮説の検証(というか読者の説得?)に重点が置かれている気がします。何というか、結論が急です。2012/11/25
uru0H
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古代から近代までの遠近法の成り立ちを追いながらも、その目的は技法の内に現れる時代ごとの認識形式。古代と近代では知覚によって受け取る経験的視空間が全く異なり、それが絵画の領域に現れるのが面白い。絵という窓を通して私たちはその時代の人が見ていた視空間をタイムトラベルして経験することができると思うととてもロマンを感じる。 また世界の創造者が神から人間へと遷移していくことが、遠近法という形で現れるというのも面白かった。2018/01/18