内容説明
自らの孤独を見つめ明滅するいのちの不思議にこころを震わせる待望の第一句集。
目次
ひとり 俳句抄
エッセイ(露の身と逝きし人;佗助の人;知らぬ月日;おはんさんの花供養;あの人が・江國滋;可愛い怪物;雪清浄)
著者等紹介
瀬戸内寂聴[セトウチジャクチョウ]
1922(大正11)年5月15日、徳島市生れ。旧名・晴美。作家・僧侶。東京女子大学卒業。1957(昭和32)年「女子大生・曲愛玲(チュイアイリン)」で新潮社同人雑誌賞受賞。1961年『田村俊子』で第一回田村俊子賞、1963年『夏の終り』で第二回女流文学賞を受賞。作家としての地位を確立し、幅広い文学活動ののち、1973年11月14日、平泉中尊寺で得度受戒。法名・寂聴。翌年、京都嵯峨野に寂庵を結ぶ。1987年より2005年まで岩手県天台寺住職を務める。旺盛な創作活動を続け、1992年(平成4)年『花に問え』で谷崎潤一郎賞、1996年『白道』で芸術選奨文部大臣賞を受賞。1997年、文化功労者。1998年、『源氏物語』現代語訳全十巻完結。2001年、『場所』で野間文芸賞。2006年、国際ノニーノ賞(イタリア)を受章、同年、文化勲章を受章。2011年、『風景』で泉鏡花賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
79
俳句とエッセイからなる1冊ですが、豊かな言葉を持っている方らしさが感じられました。1句1句が美しく、心に響いてきます。俳句の技巧云々はわかりませんし、素人でもありますが、ただ素直に寂聴さんの句が好きだなと思いました。エッセイも悟りを開いたが故の人柄が伺えます。また違った一面が見られるのではないでしょうか。2017/07/18
パフちゃん@かのん変更
44
好きな句は、「生ぜしも死するもひとり柚子湯かな」「ひと言に傷つけられしからすうり」「生かされて今あふ幸や石蕗の花」「菜の花や神の渡りし海昏く」「子を捨てしわれに母の日喪のごとく」「すててこそ虹たつ今朝のかぎりなく」「木枯らしや野にも山にも心にも」85句とエッセイが7編。好きなエッセイは『あの人が・江國滋』2018/07/12
kiho
13
句には句なりの、句だからこその寂聴さんが感じられる⭐2018/02/13
。
8
この作家は自身のことを抜きにして小説を成立させることはなかったのではないかと思うけど、俳句にメタフィクションとかそういう余地がなかったとして、死を間近にした静けさの凄みと闇に隠した花の隠しきれない艶に、人生の軌跡に、作家自身により接近した作品世界なのだと考える。そのときに俳句を作る小説家の作品群を丹念に検証したくなる。とにかく瀬戸内寂聴さん、俳句上達された。すごい。2020/01/06
ブルーハート
7
句集とエッセイが小さな本になっている。句もいいし、それに劣らずエッセイもいい。しっとりした読後感がある。95になった筆者の円熟のなせるわざだろう。