感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たーぼー
58
暗闇に横たわる者を、誰それの人称を、一望の元に眺めることを伴侶は容易に許さない。常に闇と語られる声との間に輪郭線が張られ、そこに何者かが身を潜め姿を現しては消え去るから。私如きには伴侶を解く術を持ちえないので、事象の全てが伴侶ともいうべきと欺きたい。満足たる答えは存在するのだろうけど、感覚に寄り添いたい。例え表層的に丈量図で描いてみようにも空間は歪み、角度が合わず、距離が合わず、徒労に終わるだけだから。しかし私は、私の精神の活力が必要であるために描いてみたい。そう、活力を示さなくてはならない気がするから。2016/12/23
zirou1984
43
眠れない夜にベケットの作品はよく似合う。それが晩年の作品なら尚更のこと。切り詰められた声、か細い声は小説というより剥き出しの散文として響き、幾度となく反響して複数の声となる。重なれど調和を拒絶する声は時に戸惑い、躊躇い、投げ出されるように連なっていく。闇の中で仰向けになりながらすべてを自分の伴侶として想像すること、ただそれだけを叙述すること。相変わらずただ一人で。それでもすべてを自分の伴侶として想像すること。ただそれだけが、それにもかかわらず、ざわついた心を鎮めてくれるのは一体どうしてなのだろうか?2015/09/30
なっぢ@断捨離実行中
9
ベケットに関してはドゥルーズの考察に尽きているように思えるのであまり進んで語りたくないけど一応。ゴドーを待ちながらでの世界の根源的な虚無を覆い隠す無為なお喋りが止んだあとの「ぼく」が「きみ(伴侶)」を求めさ迷う果てしないあがきは終わりを終われない永遠の宙吊り状態にいざなう。ゴツゴツとした極限的思考の塊にガリガリと体力を削られていくが、不思議なことに読了後には爽快感だけが残り再度本を開くことに。終わりの終わらなさが一種の救いだからだろうか、それとも「ぼく」にも「きみ」にも飽き飽きしてるからだろうか?2017/04/15
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9
何回か泣きそうになった。2016/06/03
ami
6
何もなくなったところまで。2017/08/16