葉書でドナルド・エヴァンズに

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  • サイズ A5判/ページ数 165p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784878933707
  • NDC分類 723.53
  • Cコード C0095

内容説明

本書は、一九八五年から一九八八年にかけて画家ドナルド・エヴァンズに宛てて書かれ発信された葉書百八十六通のうち、できるかぎり復元し、再度日付の順番に並べ直したものである。

著者等紹介

平出隆[ヒライデタカシ]
1950年、福岡県門司に生まれる。詩人
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mii22.

68
『あとは切手を、一枚貼るだけ』の関連本。詩人から今は亡き画家宛てに書かれた日記のような葉書の数々。画家の人生をたどりながら、また自分の旅の先々からその葉書は書かれる。水彩絵具と切手サイズに穴あけが済んだ紙の束とをもって旅立つエヴァンズを想像してワクワクした。エヴァンズの描く架空の切手から架空の国架空の国語が生まれていく。小さな切手のファンタジーの世界が現実とどこかで繋がって行くようなひろがりをみせる。2019/09/11

コットン

66
夭逝した架空の国の切手を描き実在していた画家『ドナルド・エバンス』。本書は彼の友人達などの情報から彼を深く知って死んだ画家『ドナルド・エバンス』宛に葉書の趣向で綴った詩的で愛があふれる文章と彼の切手。著者と澁澤龍彦との話の中で著者が「まず、ぜんぶ自分でつくった国ですね」 「つくる端からそれを、まるで自分のつくったものではないかのように、蒐集しているんですね」と。澁澤さんは「そうか、つくりながら蒐集しているんですね」と返している。2019/07/11

zirou1984

31
架空の国の切手を作り続け、31歳の若さで夭折した画家・ドナルド・エヴァンズ。そんな彼へ宛先のない葉書を送り続けた内容を纏めた本作は、まるで虚構の人物を語っているような淡い世界で満ちている。行くあてのない手紙、死者へ向けられた言葉。口数少なくとも不在であることを雄弁に語る詩人の言葉は期せずして友人の死とも重なり合い、深い悲しみで溢れながらも不思議と死者がずっと傍にいるような錯覚を与えてくれる。人生に寄り添う本、というのはこういう作品のことをいうのだろう。それはとても静かで、でも驚くほどに雄弁だ。2018/03/18

はやしま

27
1頁ごとが葉書となっているように、作者からエヴァンズへ、優しく美しい日本語で綴られた恋文のような便りが続く。エヴァンズの生きた跡を辿る旅。紀行文のようで散文のようで詩集のようであり、ノンフィクションであるようだがフィクションのようでもあり。堀江敏幸の『その姿の消し方』と似たような世界を感じた。何とも不思議な旅をお供させてもらったような気持ちで読了。入手困難なようで図書館で借りたが、手元に置きたいーできれば東京パブリッシングハウスの叢書crystal cageの絵葉書版で。2020/09/14

25
1985年から1988年にかけて、著者がドナルド・エヴァンズに宛てた葉書が日付順に並べられている。穏やかで淡々とした文章は読みやすく、まるで架空の物語のような雰囲気にも合っていて、すぐに引き込まれた。ドナルド・エヴァンズの影を追って綴られる文は、現実のことなのだろうけれど、どこか空想的で、現実と空想の間を漂っているような感覚がした。ドナルドが来られなかったランディ島で最後の葉書をしたためたことも、まるで物語のようだ。これが物語だとしたら、終わるのはランディ島でしかありえないから。2022/10/06

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