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オルガスマシン

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  • サイズ B6判/ページ数 254p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784877344580
  • NDC分類 933
  • Cコード C0076

内容説明

物語は、女性製造販売の大手企業、カスタムメイド・ガール社が管理する「コンクリートの島」から幕を開ける。クローン綾波さながら、成長ホルモンと栄養剤を満たしたタンクの中に浸かる娘たち。この素体を利用して、顧客の注文通りのCMガールが製造されてゆく。身長二十五センチの盆栽娘、両性具有体、背中合わせのシャム双生児、異星人ふうに造型された娘、鱗におおわれたリザード・ガール、翼の生えた鳥娘…。主人公格のジェイドは、異様に大きな青い目を持つCMガール。柳模様の美しい箱に収められて島から顧客のもとへと出荷されたジェイドがたどる数奇な運命を描くメインプロットは、古典的なポルノグラフィ(たとえば『O嬢の物語』)の文法に従っている。一人称で語られるジェイドの物語と並行して、彼女と同時に「生産」され、コンクリートの島を出た娘たちのエピソードが断章のように挿入されてゆく。虐げられつづけてきたカスタムメイド・ガールたちがついに団結し、男社会に叛旗を翻すクライマックスは、ページを繰る手ももどかしいほど。圧倒的な密度と荒削りなエネルギーに満ちた処女長編を、作家的成熟を経た一九八〇年代に全面改訂したことが結果的に功を奏したのかもしれない。過激な性描写や歴史的希少価値を抜きにしても、現代SFの最先端としてじゅうぶん勝負できる傑作だ。

著者等紹介

ワトスン,イアン[ワトスン,イアン][Watson,Ian]
1943年英国南東部セントオールバーンズ生まれ。オックスフォード大学卒。1967年から3年間東京に滞在。東京教育大学等で英文学を教える。処女長編「エンベディング」でアポロ賞受賞(フランス)、シクラス賞受賞(スペイン)。スタンリー・キューブリックに才能を見込まれ、彼の生前に映画「A.I.」の脚本執筆依頼を受ける

大島豊[オオシマユタカ]
1955年生まれ。上智大学外国語学部卒。「レッド・マーズ」の翻訳者として第30回星雲賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ニミッツクラス

23
01年(平成13年)の税抜2800円の初版。物語を先入観なしに純粋に楽しみたい人は本文を先に読む。著者の来歴を含めて本書が書かれて日本で出版された経緯に首まで浸かってイアンを堪能したいSFファンは、著者あとがきと訳者解説をとっくりと読んでからイアンワールドへ突撃するのも良い。性転換やハイテク熟成の結果としての人体改造はヴァーリイやバチガルピでも読めるが、女性不要論(その逆もまた真)が当時としてもマニアックの域を越えている本書では、“英語版が存在しない事”が倫理的見地からも納得できる…よなぁ。★★★★☆☆2020/10/14

Hepatica nobilis

10
カバー絵だけでキワモノ扱いされても仕方ないが、内容は一読してもそのような内容。未来の世界で、はじめから男性の慰み者として徹底的にカスタムメイドされて生み出された女性たち。ヒロインのジェイドは特別に大きな青い目を持った少女。ジェイドが欲望に翻弄された挙句、転落し捨てられるさまが描かれる。ストーリーはどちらかというと「真面目」で、決して下らない内容ではない。この作品世界の過剰なディティールに溺れているところもあるかもしれないが、この本の欠点はこの装幀。2019/01/27

明智紫苑

9
再読。会田誠氏の作品群が反フェミニズム的だと見なされるものなのに対して、こちらはむしろ明確にフェミニズム的なものである。この小説がフェミニズムの立場から非難されるとすれば、それは「作者が男性だから」という偏見ゆえではなかろうか。会田氏の作品群だって、女性芸術家が似たような作品を製作発表すれば、その評価はだいぶ違ってくるだろう。2019/03/07

明智紫苑

9
『ファイブスター物語』や『マルドゥック』シリーズのファンとしては、こういう人造人間ネタは興味深い。人造美女の一人キャシィは嫌な女だが、彼女のような女性キャラクターは、フェミニズム的な物語を描く上で「必要悪」だと思う。『韓非子』の言う「君主の妻/母」タイプの女ね。2015/06/06

7a

5
男たちの欲望のためにカスタムされ出荷される女たち。女は性を売る商品。道端で立ち止まっているだけで売春と見なされるんですって。自分の良いように女たちを使いたいのならどうして自意識を残したのだろう。完全に道具にしてくれないのだろう。苦痛すら愛だと思えるように作ってくれなかったのか。ここに出てくる男たちはどれも獣じみていて知性を感じない。付き従うべき存在と思える対象じゃない。だけど美しさとか若さとか、性的なスタイルの魅力とか、女は男の視点で生きてしまう。なかなかその柵からは脱出できないものなのか。2019/03/03

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