内容説明
弟・襾齢の治踪と死の謎を追って、地図にない異郷の村に潜入した兄・珂允。襲いかかる鴉の大群。四つの祭りと薪能の儀式。蔵の奥の人形。錬金術。嫉妬と憎悪と偽善。五行思想。足跡なき殺害現場。連続殺人。人殺しの手に現れるという奇妙な痣。盲点を衝く大トリック。村を支配する大鏡の正体。ふたたび襲う鴉。そして、メルカトル鮎が導く、逆転と驚愕の大結末。「’98本格ミステリ・ベスト10」(東京創元社)第1位に輝く神話的最高傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とも
45
★★★★登場人物も多く、関連性も複雑で混乱をきたしがちで、なかなか頁が進まない。さらに読み終えたところで、驚きとともに理解しがたい箇所があり、ネットでの説明を探し やっと全ての意図が出来た次第。そんなわけで、非常に手の込んだ作品であり大作である反面、万人向けかというとそうでもなく、ある程度の読書歴と本格推理になれている方にはお勧めの一冊となる。自身のある方、一度挑戦を(笑)2016/08/16
Keystone
12
98年度本格ミステリベスト10第一位作品。メルカトルが登場しました。メルカトル生きてる!謎解きがあって、そうだったのか、と思ったらすぐにひっくり返り、ビックリしました。最後のところはちょっと強引な気もしますが、麻耶ワールド全開という感じでしょうか。2011/05/18
赤字
8
図。「珂允が大鏡の前で長い推理を話し終えた後から」がこの小説の本番。このカタルシス、読後の喪失感は麻耶以外の作家では得られない。脳味噌がキューッと締まっていく感じというか…。カタストロフィって単語がよく合う。毎回毎回麻耶雄嵩の小説は裏切らない。/メルは本当に長編には向かないなぁw長編では良いところにちょろちょろっと出てくる。/橘花のミスリードは、櫻花が弟を殺したシーンで頭に引っ掛かってたけど、気付けなかった…くやしい。/再読したらまた違った感想を抱くのかもしれない。2011/11/04
オーウェン
6
弟の襾鈴を殺された兄の珂允は、その謎を追って隔離された村にやって来るが、そこで鴉の大群に襲われる。その後も村での対立や、五行思想。そして連続殺人。更に閉鎖的な村であることも特徴の一つで、これも犯人と密接に関連している出来事。そして現れる銘探偵メルカトル・鮎の超絶推理。 2つの驚く推理があるのだが、1つ目は細かいが伏線は敷いてあったし、なぜ村人は~?という点にしっかりと回答している。 2つ目も驚く推理。 こちらも文のそこかしこに違和感はあったのだが、ラストにメルカトルに指摘されるまで気づかない丹念なもの。2019/10/05
やっす
6
十数年ぶりの再読。全く印象に残っていない事を考えると当時はあまり面白く感じなかったのかもしれないが、今改めて読んでみるとなかなかどうして面白かった。閉鎖的な集落で起こる連続殺人といういかにも本格ミステリ的な展開に心が踊ります。犯人を炙り出すロジックも結構いいし、叙述トリックもあったりで盛りだくさんな内容。メルカトルも今作ではわりと真っ当な探偵役を務めているのも好印象。あと蛇足ですが、蝉子がいじらしくて可愛いかったのにあんな結末を向かえてしまったのが非常に残念だった。2014/06/03