内容説明
ヤプーは日本人のなれの果てであり、かつての日本列島には「邪蛮(ジャバン)」と呼ばれるヤプーの国が存在していた。ヤプーの間では宗教教育の結果、白神信仰が浸透していて、その始祖こそ天照大神ことアンナ・テラスであった。クララはアンナに会うため飛行島高天原(ラピュータ・タカラマハン)を訪れ、驚くべき歴史の真実を聞く…。記紀神話をも解体、吸収する妄想の迷宮、第四巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bugsy Malone
51
日本人が何故ヤプーと呼ばれる家畜に堕ちてしまったのか。何故黒人が半人間という位置に甘んじてしまっているのか。この巻に至り、確かにここまで周到に洗脳、管理されてしまえば有り得る事だと思わされてしまう。主人公麟一郎は遂に自らクララの肉便器となる事を願う。どんな結末が待っているのか?引き続き最終巻へ。2015/11/08
おたま
32
相変わらずの展開ではあるが、少し文体が変わってきているように思う。これまでは物語を破壊するかのような、背景となるイースとヤプーの社会、生態、文化、歴史等を細々と書いてきたが、四巻になって少しずつ物語が動き始めたように思う。とはいえ、四巻まできても、第一巻のときからまだ二日ほどしか経過していない。物語を異化するメタ物語。イース社会の在り方(女権社会、白神崇拝、肌の色による差別、人間家畜化等)に対しても慣れというか、耐性がついてきたのか、それほどの嘔吐感もなくなってきた。いいのか悪いのか・・・。2022/09/25
ヨクト
19
解説のように哲学としての本書、そういう深読みも面白い。僕には難しいことは良くわからないけれど、それでも本書は面白いと思う。ただ本書を面白いなんて、公言することは憚られるけれど。物語の進行につれて、当初婚約までした白人女性と日本人男性のカップルの関係性が移り変わっていく。日本人男性の絶望・屈辱が伝わってくるとともに、そこに内包される歓喜が本書の異常性であり魅力でもある。2014/05/01
ペトロトキシン
12
ついに麟一郎がリンになってしまうのだが、クララの麟一郎に対する態度の豹変には驚きが隠せない。もう4巻目だから物凄く時が経ってるような気がしてたけど、よくよく読んでみると1日かそこらですか……。麟一郎がクララのセッチンとなるのは、この際仕方ないとしてクララ以外の奴に使われるのは何だか嫌な感じである。残り1巻だけど、どんな展開になるのか想像もつかない。まさか夢落ちってことは無いですよね…2015/08/12
猫丸
9
黒奴は半人間だから精神支配のためにいろんな間接的カラクリを要する。でもヤプーは人間ではないからデリケートな配慮は無用。身体構造も精神構造も好き勝手に改変してよいのです。とはいえ、ヤプーの有用性はその高い知能に依るところ大なのですね。だからイース貴族の専用畜を目指しての受験戦争も存在する。執筆時期が大きくズレたため、だいたい80年代初頭の世相を反映してしまったようで、ここは減点要素。やはり時代を超越して欲しかった。「コクがあるのにキレがある」には吹き出したけどね!2018/07/23